名古屋・不動産市況--トヨタショックが直撃!!寒風吹きすさぶ繁華街《不動産危機》
“リーマンショック”に続く“トヨタショック”。日本不況列島の中でも、名古屋経済は急激な景気悪化の嵐に見舞われている。
「まだまだ入り口、これから不況はホンモノになってくる」と、地元不動産業者は悲壮感を漂わせる。折しも発表された公示地価。全国の地価下落率ワースト10のうち、実に9地点を名古屋市内が占めた。
中でも名古屋市中区の栄、丸の内、錦の地名が目立つ。市内を東西に走るメインストリートである広小路通り、錦通り、桜通り。南北に走る伏見通り、大津通り、大きな公園もある久屋大通りに囲まれた地区。中でも栄地区は有名百貨店やブランドショップなどが立ち並ぶ名古屋一の商業地であり、錦は飲食店が入ったソシアルビルが数多く集中している“夜の街”。その商業地と名古屋城の間に位置する丸の内は官庁街にも近く、オフィスビルが多い地区。“東京・丸の内のミニ版”といったイメージである。
この名古屋の中心部の地価が大幅に下落している原因は何なのか。
2005年の愛知万博以降も名古屋は好景気が続いたが、その象徴は名古屋駅前に完成した超高層ビルのミッドランドスクエア。そこにトヨタの営業部隊を中心に多くのビジネスマンたちが移動してきた。トヨタ景気を象徴するランドマークタワーでもある。
ここ数年は名古屋駅前地区の地価が高騰し、それに引っ張られるように周辺地域の地価も上昇した。ミッドランドスクエアに続き、ルーセントタワーなど高層のオフィスビルやモード学園のスパイラルタワーなど大型ビルが次々と完成、「名駅」地区は駅として人が集まるというだけでなく、ビジネスマン、OL、学生で昼間人口が増加、それにつれて飲食店なども増えていった。栄地区とともに名駅地区は名古屋の2大商業エリアとして活況を呈していた。
しかし、リーマンショック以降の世界的な不況は、この名古屋経済へも大きく影響した。名古屋景気を支えてきたトヨタ自動車の業績が急激に悪化してきたためだ。