苦境のオリックス! 資産圧縮で耐え忍ぶ“不動産金融王”《不動産危機》
なぜジョイントに出資を行ったのか?
が、はたして嵐が通り過ぎるまで耐え忍ぶことができるのか、これが最大の焦点だ。
まず不動産事業者向けの貸し出しが非常に厳しい。08年3月末時点の大口与信先(下表)を見ても日本綜合地所、レイコフインベストメントがすでに倒産していることから推測できるように、新興デベロッパーを中心に貸し倒れが多発している。08年3月末の1%弱から12月末に2%弱へ拡大した貸倒引当金繰入比率はいっそうの増額を迫られる可能性が高い。
新興デベロッパー向けの融資は金額が大きいため目立つものの、オリックスの不動産事業向け融資の特徴は1億円未満の小口が多い点にある。貸出先は全国にまんべんなく散らばっており、そのことが経営の安定度を高める強みとみられてきた。小口融資の典型例が、地方の建売業者への1億円程度の融資で、これは土地を担保に建設費を融通。分譲後に返済を受ける、というものだ。「今回の景気後退では、こうした小口の融資先でも貸し倒れが増えている。新興デベ向けより、こちらが厳しくなっているほうが深刻だ」とオリックス関係者は打ち明ける。
強みとしてきた不動産向けのノンリコースローンも損失が増加する傾向だ。物件の賃料などを見て貸し出し条件が悪化していれば、エクイティの増額や一部返済を求める方針だが、相手先に体力がなければオリックス自体が当該不動産を抱え込むことになる。不動産の価値が大きく落ちていれば、やはりここでも損失計上が必要だ。ノンリコースローンだけでなくSPCが発行する社債や買取債権についても、損失発生リスクが続く。
賃貸不動産、分譲マンションなど、オリックス不動産などが行う不動産事業についても、厳しさが付きまとう。マンション冬の時代に対応して新規分譲を抑制し、08年1307戸(不動産経済研究所調べ)に対し、09年は約1000戸へ減らす計画だ。
50%弱出資する持ち分法適用会社の大京は08年4~12月期までに339億円の棚卸評価損を計上。10年3月期以降販売予定の物件についても評価替えを行ったことから、評価損の規模は全棚卸資産残高の10%に及んだ。これにより09年3月期は大幅な赤字に転落することになり、オリックスは大京の優先株100億円を引き受けて資本強化を助けた。
05年に増資を引き受けて以来、融資枠の設定などにより経営支援を進めてきたが、今回は2度目の支援だ。しかし、今でも「純投資」という従来からの位置づけは変わっていないというのがオリックスの説明。好条件の買い手が現れればいつでも売却するというわけだ。