REIT市場が土壇場に、公的資金か合併再編か《不動産危機》

J‐REIT支援の議論が高まりつつある。世界的な信用収縮と不動産市況の悪化を背景に資金繰りに苦しむREITが続出。リスクを取れる投資家が見当たらない中、業界からは「年金や個人投資家が買いに出てくるまで、『安定化基金』のような公的なつなぎ資金が必要」といった声が上がっている。早稲田大学大学院ファイナンス研究科の川口有一郎教授も「不動産取引の出口機能を果たすJ‐REITは、国民経済にとって重要な商品だ」とREIT救済の必要性を説く。

昨年来、リプラス、モリモト、そしてクリードと、REITを傘下に持つ企業の破綻が相次いだが、これまでは破綻前に主要スポンサー(母体企業)が交代し、母体企業の不在は回避されていた。

ところが3月10日、恐れていた事態が発生した。不動産ファンド運営のパシフィックホールディングス(HD)が会社更生法の適用を申請したことで、傘下の日本レジデンシャル投資法人、日本コマーシャル投資法人の両REITのスポンサーが事実上、宙に浮いてしまったのだ。提携交渉中だった中国資本がパシフィックHDとREITとの一体再生を前提条件としていたことが裏目に出た。市場はこの二つのREITの連鎖破綻の可能性におびえている。

本来、母体企業であり運用会社の株主であるスポンサーとREITに資本関係はない。スポンサーの破綻はREITには直接影響しない「倒産隔離」という仕組みが採られている。とはいえ実際は、物件取得や人材、ノウハウ提供などスポンサーとREITとの関係は深い。スポンサーの事業モデルにおいては、傘下REITが私募ファンドと並びスポンサーの保有物件の出口(売却先)の役割を果たすことも多い。金融機関がスポンサーとREITを一体と見なした融資姿勢を強めてきたのはこのためだ。環境急変でダヴィンチHDやケネディクスといったファンド大手の関連REITも、投資口価格(株価)の低迷が続いている。

崩壊した「安全神話」 本業の賃貸にほころびも

REITの資金繰りを一気に「危機モード」にまで陥らせたのは、昨年10月のニューシティ・レジデンス投資法人による民事再生法の適用申請だった。



マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • コロナ後を生き抜く
  • 最強組織のつくり方
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
「ニッポン半導体」敗北の真相
「ニッポン半導体」敗北の真相
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
勝ち組シニアと負け組シニア<br>定年格差

「45歳定年」発言に対し一部で猛反発。現実には法改正で70歳までの雇用確保が今春努力義務化されました。人生100年時代といわれる今、従来の定年はもはやなくなりつつあります。老後も働くシニアが第二の人生を勝ち抜くためにすべきことは何でしょうか。

東洋経済education×ICT