不動産・マンションはどこまで下がる?--自壊する危機の構図《不動産危機》
実は、同じようなことが金融危機の震源地・米国で2年前から繰り返されてきた。サブプライムローンが返済できない債務者が自宅を銀行に渡し、銀行が競売にかける。それが住宅価格の下落を加速し、債務者の返済能力を一段と奪うという悪循環だ。米国の住宅価格指数は今年1月現在、依然下げ止まらず、前年同月比で19%、06年ピーク比では30%の下落となっている(S&Pケース・シラー指数)。
公的資金投入論も浮上 業界は大きな岐路に
「今後3年は不動産を活用したビジネスはできそうもない」。そう話すのは、有力外資系金融機関の幹部だ。「1990年代後半や2000年代初頭の不況期には外資のニューマネーが日本市場に入ってきたが、今や彼らはみな売り手に回っている。再び資金が戻るのはいつなのか、まったく予想がつかない」。
大手不動産鑑定会社・三友システムアプレイザルの井上明義社長は、さらに厳しい認識を示す。「米国の金融危機の全貌は依然見えず、金融要因だけで一番底が来るまであと1~2年。その後、国内経済悪化による需給アンバランスの要因が加わり二番底をつける。最悪の場合、本格的な市況の回復まで10年から15年かかるのではないか」と見る。
業界が国会を巻き込み、不動産市場への公的資金投入論も高まってきた。一方で、REIT市場で合併再編促進に向けた制度改正も行われるなど、マーケットの自律調整機能に期待する声も大きい。業界は今、大きな岐路に立っている。
(週刊東洋経済)
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