不動産・マンションはどこまで下がる?--自壊する危機の構図《不動産危機》


 また、同社はJ‐REIT2社と私募ファンドのスポンサーであり、それらの運用会社の親会社でもある。08年11月末時点の預かり資産は9099億円に及ぶ。スポンサーの破綻はファンド運営に直接的影響は与えないとはいえ、金融機関の貸し出し方針は今やスポンサーの信用力次第であり、明らかに悪材料。「第二、第三のニューシティ」を出さないためには、早急に信用力の高い新スポンサーを見つける必要がある。

そして今、市場が注視するのがダヴィンチHDの動向だ。同社は現在、04年運用開始の「ムーンコイン」、06年開始の通称1兆円ファンド「カドベ」、今年3月に開始した「ノービル」の不動産私募ファンド(連結子会社)を合わせ約1・5兆円を運用するほか、J‐REIT「DAオフィス」(持ち分法適用会社)のスポンサー企業でもある。東京丸の内のパシフィック・センチュリー・プレイス(オフィス部分・取得額約2000億円)、芝パークビル(同1430億円)、森トラストと共同買収した虎ノ門パストラル(同2300億円を折半)はカドベに組み込まれている。

しかし、その経営は厳しさを増す。08年12月期は不動産売却収入の激減や投資案件の評価損急増で179億円の最終赤字に転落。これにより決算短信に「継続企業の前提に関する重要な疑義」の注記が付いた。借入金返済期限が続々と到来(09年の連結ベースの返済予定額は3800億円強)する中で、資金調達の道は大きく狭められた。返済資金確保のため物件売却を急いでも、買い手不在で売るに売れない。

こうした状況下でダヴィンチHDの金子修社長の発言が波紋を呼んでいる。同氏は、今後、ファンドの保有物件の評価額が借入金額を下回った場合、「デフォルト(債務不履行)するしかない」と言う。

同社の不動産ファンドでは物件取得のために返済原資を資産の範囲に限定したノンリコースローンを活用しており、返済不能となれば物件をローンの貸し手に渡せばよい。その意味では合理的な選択ともいえるわけだが、保有物件の評価額が下がり続ける中で、デフォルトが続出すればどうなるか。物件を引き取った金融機関は資金回収のため物件を売りに出し、不動産市況を一段と冷え込ませる。また、ローンを証券化したCMBSの投資家は、低格付け証券を中心に大きな損失を被ることも予想される。ちなみに、国内で発行されたCMBS全体の裏付けローンの償還は09年に1兆円弱、10年に1兆円強へ膨らむ。「CMBS2010年問題」として危惧されるゆえんだ。

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