シリコンバレーでリッチになるには
小里氏は言う。
「長女が生まれてから、リッチになりたいと思うようになったんです」
子供に良い教育を受けさせたい、一生困らないほどのお金を残してやりたいという親心から、お金持ちになることを目指したという。リコーのシリコンバレー駐在員時代、会社の半導体を中国系の半導体ベンチャーの起業家たちに売り、製品の優秀さに感謝された。
小里氏は彼らの起業が成功し、億万長者になっていく姿を目の当たりにした。リコー社内でCD-ROM向け半導体事業が事業化しなかったこともあって、自ら起業を考え始めた。
月曜から金曜まで朝8時頃から夜9時、10時過ぎまで懸命に働き、週末の昼頃から仲間と集まって起業のためのビジネスプランなどについて、語り合った。
「最初は自宅でプランを練っていたのですが、そのうちファミリー・レストランに場所を変えて夕方まで毎週、1年間話し合っていました」。討議の結果、優れたビジネスプランが出来たので、シグマックス社を興したのだ。
小里氏にはメンター(助言者、相談相手)が「10人ぐらい」はいるとのこと。彼は今でも、リコー社員時代に培った中国系、台湾系の人脈をとても大切にしている。起業するように勧めてくれたのも彼らで、起業してから上場までいろいろとアドバイスしてくれたのも彼らだった。
2社目の起業で小里氏は、「道義的に良くない」という理由で、売却したCD-ROM向けチップ技術とは別の半導体事業をやろうと決めた。氏は「まず、何をやるか」を決めることが大事だと語る。
テックウェルでは監視カメラ、車載ナビ画面向けの半導体を手がける。「図太く、図々しく戦い、勝とう」という意識で、小里氏は困難を乗り切ってきた。
「コツコツと仕事に精を出すことはサラリーマンでも、会社経営者でも同じです。」しかし、起業してよかったことは「サラリーマンだったころより、(創業経営者とでは)リターンが違う」ことだった。
(Ayako Jacobsson =東洋経済オンライン)
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