なぜ「開成」「麻布」「武蔵」から一流が育つのか 男子御三家で鍛えられる21世紀型能力

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「3校の違いを一言で言うとどうなるか?」という意地悪な質問を受けた場合には、私は「開成では毎日が運動会。麻布では毎日が革命。武蔵では毎日が散歩」と言うことにしている。もちろん相手はぽかんとする。そこで私は、「運動会」「革命」「散歩」という3つのキーワードからそれぞれの学校の教育を説明し始める。

時代は変わっても人間の本質は変わらない

男子御三家に共通するのは、人の生き方の本質を突いた建学の精神があり、時代の荒波にもまれても、逆風が吹いても、かたくなにそれを貫き通してきたことだ。やれグローバルだ、ICTだ、アクティブ・ラーニングだと流行に振り回されるような学校は、時代の荒波を生き残れない。

名門校と呼ばれるような学校あるいはそうなるポテンシャルのある学校は、経済誌に躍るような派手な流行語をそのままパンフレットに引用するようなことはしない。必ず自分たちの建学の精神や教育理念に照らし合わせ、自分たちらしく意味づけし、自分たちなりの言葉に翻訳してから使用する。

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開成の柳沢幸雄校長は、「開成という学校が創立以来目指している頂は変わりません。進取の気性があって、自由であって、質実剛健である若者を育てることです。しかし、時代によって頂に至るルートは変えなければならないでしょう」と言う。

麻布の平秀明校長は「アクティブ・ラーニング? 麻布の教室では授業中に立ち歩く生徒がたくさんいて、昔からアクティブですけど」とうそぶく。

武蔵の梶取弘昌校長は、「教育としての動的平衡を目指す」と表現する。「動的平衡」は、生物学者・福岡伸一氏の「生命とは動的平衡にある流れである」という言葉からの引用だ。細胞がすべて入れ替わっても生命体そのものは変わらないという意味である。

同じようなことを言う3校長のこの表現の違いが、くしくも3校のハビトゥス(特定の集団に特有の行動・知覚・判断の様式を生み出す諸要因の集合)の違いを見事に表しているように私には感じられる。

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