「世界の争い」が一向になくならない根本理由

地政学の視点なくして、本質は読み解けない

航海技術の発展などにより、ヨーロッパで力をつけていた国々は、次第に外洋へと目を向けていく。海の向こうには、まだ見ぬ豊かな土地があり、彼らを従属させ、自分たちの有利なように貿易をすれば、もっと栄えることができる、というわけだ。

海を渡って他国へと進出するためには、「海」を制さなくてはならない。「よりよい、より広い土地をめぐる押し合い」は、舞台を陸から海へと移したのである。

強気な中国、急ピッチで海に拠点を築き始める

中国もまた、今や「海」への進出に大変熱心である。長く帰属問題でもめている台湾、「核心的利益」と位置付けている尖閣諸島のほか、南シナ海の南沙諸島を埋め立て、滑走路などを建設してベトナムやフィリピンを圧迫している。まったく「らしい」といえば中国らしい、強引なやり方で海に拠点を築き始めている。

その中国では、2013年3月から習近平が国家主席を務めている。習近平は国家主席就任以前から「中華民族の偉大なる復興の実現」を掲げており、2012年、国家副主席として初めて訪米した際には、ワシントンポストのインタビューで「中国とアメリカとで太平洋を二分すること」を匂わせる回答をしている。

2013年6月、国家主席になってから訪米した際には、オバマ大統領に対して、「太平洋には両国(アメリカと中国)を受け入れる十分な空間がある」と明言。さらに露骨な野心を見せつけた。

相手が引けば自分が押すというのが、国際政治の常道だ。国家主席就任の矢先に、アメリカが「世界の警察官をやめる」宣言をしたことで、習近平は勢いづいた。そして、2014年には南沙諸島の埋め立てを隠そうともせずに、急ピッチで完了させる大きなきっかけになった。そう見るのが自然だろう。

何かと強気だった中国だが、アメリカの軍事力はさすがに脅威であり、アメリカが世界の安全保障に睨みを効かせている限りは、下手な手は打てなかった。だが、そのアメリカが引く姿勢になったと見るや、あからさまに押してきたというわけだ。

言い方は悪いが、国際社会は「なめるか、なめられるか」の世界だ。「戦争を好まない」という触れ込みで、イラクからの米軍撤退を表明したオバマは、そのことでは評価された。しかし皮肉なことに、その協調路線、穏健姿勢によって、見ようによっては、中国に「なめられる」ことになってしまった。

このように、互いの実力、行動力の探り合いや、「相手が引いたら自分が押す」式の駆け引きが、国際政治の舞台ではつねに繰り広げられている。

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