「iDeCo」をほったらかす人は老後に後悔する まずは自分の会社の仕組みを必ず聞くべきだ

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しかし、「他人からもらったお金だから」と無関心でいてはいけません。会社によっては、想定利回りを設定しているところもあり、その利回りを実際の運用利回りが上回らないと「損」をしてしまうからです。

想定利回りは、DC導入のいきさつによって、ある会社とない会社があります。例えば、退職一時金制度からの移行という会社であれば、本来支給の退職一時金を想定利回りで割り戻し、月の掛け金を設定します。

つまり、想定利回りを運用利回りが上回れば、前制度での退職一時金よりもDC残高が増えますし、下回れば本来支給の退職一時金よりもDC残高が少なくなります。筆者がこれまでDCの研修などでお邪魔した会社の想定利回りは2%前後という印象ですが、もちろんこれは会社により異なります。

想定利回り2%以上の運用をしようと思うと、株式などへの投資も必要になるはずですが、前述のようにお金が寝ている状態であれば、結果的に損をしていることになるのです。「もらったもの」だからどうなってもいいというわけにはいきません。元本が割れないというのは安心かもしれませんが、時間が経つほど想定利回りとの乖離は大きくなりますから、本来ならしっかりと運用商品の選定を行うべきです。

「マッチング拠出」を使っている加入者はたった3割

国はDC導入企業に対し、従業員の研修を定期的に行うように奨励していますが、なかなか行き届かないことも多いようです。「会社が何もしてくれない」という人もいますが、自分の老後です。やはりここは自分自身で情報を取りにいくという主体性が望まれます。

企業からの掛け金が非常に少額で、これではやる気も起きないのかなと思う場合もあります。掛け金は、勤続年数や役職などで年功序列の設定となることも多く、資産形成層といわれる若手ほど掛け金が少ない傾向もあります。

でも、会社の掛け金に合わせて自らの給与から掛け金を拠出できる仕組みがあります。それがマッチング拠出です。2012年から始まった制度で、DC企業の半数以上が導入済みといわれています。これは、会社のDC口座にお金を積み立てるのですが、掛け金は全額所得控除になるのでiDeCoと同様の税制優遇が受けられます。

しかも、会社が口座管理手数料などの手続きをしてくれますからとても便利なのですが、マッチング拠出を活用している加入者は3割弱と振るいません。もともと掛け金が少ない場合、あまりメリットを見いだせないのかもしれませんが、DC制度にそもそも関心がないので、「宝の持ち腐れ」になっている人が多い、というのが実態でしょう。

次ページDCとiDeCoの壁をなくす、画期的な改正案
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