30~40代男性が7割、「性依存症」の深刻な実態 見えない心の病を抱えた患者たち

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豊かな社会
豊かな社会になった今、心の病が増えています。一見、矛盾するようですが、飽食の時代になり、糖尿病が増えて飢える心配がなくなった現代社会に、摂食障害のように食べたものを吐いてしまう人がいます。豊かさが、逆にこうした心の貧しさや心の病気・現代病を生んでいるのではないかと、私はつくづく考えてしまいます。
ゆるくなった社会規範
社会規範がゆるくなり、価値観が多様化しています。これに対応するように、社会生活の基本である自由と規律についてきちんと教わっていない人が多くなり、このためセルフコントロール、つまり自分を抑えるという教育がおろそかになっています。
情報化社会
今は、ポルノ映像などの“性情報”があふれています。自分の部屋でそれらを見入っていれば、刺激を受けないわけがありません。頭の中に情報が詰め込まれたまま外に出て、対象となる人物に対し、衝動的に痴漢や盗撮をしてしまうのです。

「性依存」は「働き盛りの会社員」に多い傾向

性欲は人間誰しも持っており、15〜16歳の思春期の少年はとくに性的好奇心が強く、性欲も強いものです。しかし彼らが一様に性依存症になるわけでも、まして性犯罪者になるわけでもありません。

どんな人たちが性依存者になるのかを、当院の受診者のデータから検証してみると、30〜40代の男性がおよそ70パーセントを占めました。つまり壮年期、働き盛りの世代に性依存患者が多いのです。

次に、彼らの職業はというと半数が「会社員」。さらに学歴を見てみると、4年制大学卒がほぼ半数を占め、大学院卒を合わせると54パーセントにもなっています。

写真はイメージです(写真:週刊女性PRIME)

これらのデータから、性依存者の平均像として「高学歴で、働き盛りの会社員」という素顔が見えてきます。

その年代となれば、おそらく会社では中間管理職として勤務しているケースが多いはず。上司から命令されるプレッシャー、そして部下を指導するプレッシャーなどを受け、それらがストレスとなり、性依存の引き金になってしまうケースも多いのです。

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