「広告では買わない人」をその気にさせる新法則 認知度より社会貢献度やストーリー性が重要に

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あなたが大切な人たちにすすめるモノには、ストーリー性がありますか? (写真:CORA/PIXTA)
最近「今までのようにモノが売れない」という声をよく聞きます。
価値観が多様化し、SNSが普及した今、マーケティングの最優先事項だった「消費者のニーズ」は見えづらくなり、逆にSNSを通じて企業のふるまいそのものが、消費者から見えるようになりました。かたやSDGsをはじめ、企業には社会的責任も求められています。この複雑な時代に、マーケティングには何ができるのでしょうか?
「今、ニーズよりも重要なのは『企業が消費者に、どこまで未来の安心を約束できるか』ということです」と語るのは、多くの企業のブランド戦略立案やイノベーション・プロジェクトに携わるブランドリサーチのプロ、廣田周作氏。今回は、廣田氏の新刊『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』から、先進的な企業のあり方やマーケティングのヒントを紹介します。

マーケティングの教科書では、市場のどこにニーズがあって、どこにターゲットがいて、その人の課題は何かを細かく特定して、それを解決していくことが必要だと習います。

いわゆる、コトラーのSTP戦略ですね。要は消費者のニーズを掴み、そのニーズを満たせばプロダクトは売れるということです。そして、ブランドにとっての最重要課題は「みんなが知っている状態」を目指すことでした。なぜなら「有名な会社ならきっと安心だ」と考えられていたからです。

しかし、価値観やライフスタイルが多様化した今、問われているのは認知度ではなく、社会や環境に対してどのような取り組みを行っているのかという「ファクト」と、それに基づいた「ブランド・プロミス」です。

「ファクト」と「ブランド・プロミス」

ニーズを満たすこと以上に「企業が消費者に、どこまで未来の安心を約束できるか」が重要になっています。会社の規模よりも「まともなブランド」なのかどうかが、よりシリアスに問われるようになったわけです。

では、そもそも、なぜ消費者との「約束」が重要になったのでしょうか? 

ひとつは、明確にSNSの影響があると思います。

想像してみてください。最近、あなたはマス広告を見て何かを買った記憶はありますか? あるいは、マス広告で見たものを友人におすすめしたことはありますか?

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