まず残念なお知らせがある。この記事の取材に応じてくれた多くの人が名前や顔を明かすことを望まなかった。逆恨みやいじめを恐れて、だ。これは私を暗澹たる気持ちにさせた。取材をお願いした”被害者”の多くが学齢期の子どもや若者だから、日本に「隠れた差別」があるからだけではない。
自らや自分の子が日本でより快適に暮らすために、当事者たちがこうした問題に取り組む勇気が「身元を公表することへの恐怖心」に阻まれているからだ。彼らは子どもの友人やクラスメート、教師、PTAそして日常生活で出会う日本人が、自分が告発した、ということを知られるのを恐れているのだ。
自分の子どもの生活の質や教育に影響を与えるようなこと、そして改善する価値があるものについて、もっとも弱い立場にあるマイノリティの人々が抗議することを怖れている社会とは、いったいどんな社会だろうか。
三つ編み「数」が校則違反に
そのツイートは瞬く間に拡散され、多くの共感を呼んだ。日本人の母親と黒人の父親を持つ、日本育ちの中学生のナオミさん(仮名)の髪の毛をめぐる「問題」について母親の友人がツイートしたのだ。
ナオミさんの特徴はその髪の毛である。母親よりも父親のほうの髪質を受け継いでおり、縮れてカールしているので、典型的な日本人の髪の毛よりも手入れが大変だ。黒人の髪を健康に保つには特別なケアを必要とする。
入学してすぐ、ナオミは10~12本の三つ編みをして学校に行った。校則ではポニーテールか、耳の後ろでのツインテールは許されているが、それ以外のスタイルは校則違反になるという。
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