au「povoは集客装置」、店に不適切販売指示の罪 景表法、独禁法、電気通信法に違反のおそれも

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東京都内のショッピングモール。auショップの出張販売ブースで掲げられていたpovoの巨大看板には、どこにも「オンライン専用プラン」との文字はなかった(記者撮影)

「povoは集客装置」「povoフック」――。auショップを営む代理店に対しKDDIが配布している販促マニュアルには、そんな文言が並ぶ。

携帯電話大手のKDDI(au)がオンライン専用格安プラン「povo(ポヴォ)」を巡り、上記の代理店向けマニュアルで「povoを宣伝に活用して客を集め、auの大容量プラン等にその場で契約させるように」と指示していたことが、東洋経済の取材でわかった。同社の手法は景品表示法、独占禁止法、電気通信事業法に違反しているおそれがある。

povoはKDDIが3月23日に開始した、月間データ容量20GBで月額税別2480円のプランだ。東洋経済オンラインでは同月26日、NTTドコモがオンライン専用格安プラン「ahamo(アハモ)」をおとりに同社の大容量プランに誘導する「アハモフック」の問題点を指摘した(詳細は「ドコモ、『アハモでギガホ勧誘』景表法違反か」)。

政府要請による値下げの裏で、業界では格安プランへの注目度の高さを逆手に取った不適切販売が横行している。

povoのデメリットを並べ高額契約に誘う

東洋経済が入手したKDDIの代理店向け販促マニュアルには、「povo活用方針:①集客装置として訴求可能 ②au即日成約につなげる」と記されている。ここでいう「auの即日成約」には、当然povoは含まれない。povoはネットでしか受け付けておらずauショップの取り扱い範囲外だからだ。

KDDIは同マニュアルで営業トークのお手本として、「オンライン専用プランは料金面で得だが、その分、店頭や電話でのサポートがない」といったpovoのデメリットを強調するよう指示。そのうえで、auなら直接のサポートが可能なので「auのご利用をおススメしております」と誘導するように推奨している。

KDDIは代理店の成績査定で、大容量プランの獲得率に極めて高い水準を求めている(記者撮影)

KDDIは代理店の成績評価項目の1つとして、auの契約に占める大容量プランの獲得率を使っている。高評価であれば加点される一方、最低評価の場合は減点。つまり、auのプランに加入させる場合は「とにかく大容量プランに加入させないと評価が下がる仕組み」(あるauショップの代理店幹部)だ。

こうした成績次第で、KDDIが代理店に支払うインセンティブ総額は大きく変わる。また、低評価のショップは事実上、強制的に閉店させられることもある。代理店からすれば、povoに客を誘導したところで評価に一切カウントされない。「povoフック」のマニュアルにのっとり、auの大容量プラン獲得に走るのは必然だろう。

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