あのトヨタが自動運転で頼った「黒子の正体」

ベンチャーの技術が東京オリパラ車両に採用

東京オリパラ向けのイーパレットには、レーザー光を照射して物体の距離や形を計測するライダーと呼ばれる高性能なセンサーを車両の前後左右と屋根の合計5カ所に設置。車両周辺の障害物を360度検知できる。自動運転用のカメラも前後に1つずつ備える。また、専用に開発した高精度3Dマップに準天頂衛星みちびきを利用した精度の高いGPSデータを照合させて、自車の位置を特定する。

これだけ多くのカメラやセンサーを搭載した場合に課題になるのは、その膨大なデータをどう処理するかだ。自動運転には「認知」「判断」「制御」の領域があり、頭脳である電子制御ユニット(ECU)の処理スピードや処理量を上げると、消費電力は増大し、放熱も大きくなりがちだ。

ECUを冷却するために専用装置を付ければその分、車両のスペースは減り、車両の電費も悪くなる。ティアフォーの自動運転OS「オートウェア」は30~35Wの小さな消費電力で動き、システムは市場で流通している汎用部品で構成されている。

一方、グーグル系ウェイモの自動運転車は「消費電力が2000W規模のコンピュータを積み、システムには特注の部品も多い」(自動車業界関係者)とも言われる。

乗り心地は極めて滑らか

イーパレットはオリパラの開催期間を含む約2カ月間、24時間体制で運行される予定だ。故障なく安定的に運行する上では、消費電力が膨大で特殊な部品で構成される自動運転システムを使うのはリスクが高い。トヨタが失敗の許されない東京オリパラ向けに、ティアフォーのシステムを採用したのは合理的な判断とも言えるだろう。

横断歩道で歩行者を見つけると一時停止。フロントランプで笑顔のマークを作り、横断を促す(記者撮影)

ただ、どんなにシステムの消費電力が少なく、精緻な制御ができるといっても、乗り心地がよくなければ、ユーザーフレンドリーとはいえない。記者はオリパラ向けイーパレットに試乗する機会を得たが、加速や停止、カーブの走行は極めて滑らかだった。横断歩道を渡ろうとする歩行者を見つけるとスムーズに減速し、停止した。

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