「もし、日本の政治家ががんで非業の死を遂げた時、果たして外国の諜報機関の仕業である可能性があるのか」――この問いに対する答えを探す時、是非念頭において頂きたいことが一つある。
私の研究所が無料で発行している公式メールマガジンで常に書いていることなのだが、米欧のエリートたちが行っているのはグローバル・マクロ(国際的な資金循環)を滞りなく廻し、それによって世界史を動かしていくことである。そしてそのために彼らが留意しているのが「上げは下げのためであり、下げは上げのため」という復元力の原則(正式には「ルシャトリエの原理」)なのである。
しかしこうしたグローバル・マクロの絶えざる流れを妨げようとする向きが時折いる。そんな時、出番となるのがインテリジェンス機関なのだ。その際用いられる手段の一つが「暗殺」に他ならない。そしてその時に密かに語られる理由はただ一つ、「さもなければ世界史は廻らない」。そう、それだけのためにグローバル・エリートは、人を当然のようにあやめることもいとわないのである。
「もっともらしい大義名分だが、何かが根本的に誤っているのではないか」
そうした声が上がってきて当然だ。事実、「張本人」とされている米国においてすら、インテリジェンス機関によるこうした非公然活動について、糾弾する動きがかつてあったことを読者はご存じだろうか。それが1975年1月27日に米連邦議会上院に設置された「情報活動調査特別委員会」、通称「チャーチ委員会」である。
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