「育休」を国会議員の特権にしてはならない 宮崎議員の主張には無理がある
「休暇中の歳費」問題についても、国民の理解はなかなか得にくいだろう。
現行のルールでは、国会議員は議会を欠席していても、歳費その他を満額受け取ることができる。宮崎氏は昨年12月26日付けのブログで、「選挙区以外の事業所で活動をされている福祉団体等に歳費の33%分を寄付しようと検討」と述べている。「選挙区以外」としたのは、公職選挙法が議員に自分の選挙区内へ寄付するのを禁じているためだ。寄付を「33%」としたのは、育児休業給付金制度により給与の3分の2が最初の半年に支払われるから、これを控除した残りだという。
しかし育児休業給付金制度は雇用保険の一般被保険者に支給されるもので、国会議員に適用されるべきものかどうか明らかではない。そもそも年間約2200万円の歳費と1200万円の文書通信交通滞在費(非課税)などを受け取る国会議員と一般会社員を同列に扱うことは妥当ではないだろう。国会議員は落選して「職」を失っても、失業手当が支給されるわけではない。歳費の処理についてはむしろ、こちらの方を適用すべきではないだろうか。
イギリスにも制度はない
実際に日本と同じく出産等で議会を欠席しても歳費や手当は全額支給されるイギリスでは、ブレア元首相やキャメロン首相が”育児休業”をとったものの、これは制度によるものではない。国会議員は自営業者に類する立場であり、その高度に政治的な職責のために緊急に集まる必要性があるとされる。そのため、出産育児休業制度は特に規定されていないのだ。
また男性の育児休業取得率が高く、議員の出産育児休業を認めているスウェーデン、ノルウェー、デンマークといった北欧諸国では、どうだろうか。
こうした国では休業期間中に職務を代行する「代理議員制度」が存在する。文字通り、その議員が責任を持っている仕事について代行する議員を置く、というものである。6日の若手議員の会では、「宮崎議員の仕事を他の議員がワークシェアリングしよう」という意見も出て宮崎氏も大いに感動したようだが、「代理議員制度」はそうしたことを許さないものだ。その根底には、議員は各自が仕事を精一杯こなすべきで、他の議員の分まで手がまわらないほど重い責任があるという考えがある。
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