就活生よ、性急な「ブラック認定」で損するな 「売り手市場」に苦悩する、採用担当の頭の中

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人事担当 「ええ。たとえば『内定辞退を防止するために、研修や懇親会など手厚いフォロー体制を作っておく』などなど、いろいろと対策を練らなければならなくなっていきています。

ほかにも、たとえば就活生の囲い込み対策として、社内コンテストで優秀な成績を収めたインターン生を海外報奨旅行にご招待!とか……。これはうちの会社の例ではありませんが」

随分とバブリーなイベントを用意していらっしゃるのですね。このような企業の苦労も知らず(?)、当の学生たちはインターンに勤しみ、時には希望の仕事ができずに不満を漏らす学生もいると耳にします。

「インターンに行っても雑用ばかりだった」や「ある企業でずっと店舗のレジ打ち研修をさせられた」などの不満が漏れ聞こえてきますが、それについて、当の企業はどのように考えているのでしょう?

ライフネット・岩瀬社長のインターン騒動から考える

人事担当 「そういう企業があるという話は聞いたことがありますが、うちではなるべく貴重な体験をしていただけるように、実践に近い形のインターンを準備するようにしています。

たとえば、実際に営業部署にインターン生を配置して、取引先の営業現場に同行して名刺交換したり、生の商談に立ち会わせたり……」

それは学生さんたちにとっても刺激的でしょうね。採用に熱心な会社であればあるほど、「うちに興味のある学生だけ来ればいい」という考え方から、「そもそもインターンは学生に興味を持ってもらうための施策なのだ」と、意識が変化・定着してきているのではないかと思います。

一方で、インターン絡みでこんな気になるニュースがありました。ライフネット生命・岩瀬大輔社長の、学生インターンへの発言・対応をめぐって、様々なメディアで賛否が飛び交ったものです(参考「インターンシップで「名刺の入力」させるのはどうなのか ライフネット生命・岩瀬社長の発言巡り賛否両論」)。

岩瀬社長の行動が正しいかどうか、ここで論じることはしません。ただ私としては、学生の皆さんに伝えたいことがあります。それは、「置かれた場所で修行をすることの重要性」です。

学生時代にどんなにキャリアについての考えを深めていても、実際に働き始めてみなければ、自分がその職場に適応しているかの判断は難しいもの。だから、「その仕事は自分に合わない」や「本来私は○○をやりたかったのに、会社はそれをさせてくれない」と恨んだり、すぐに「ブラック企業」と罵って退社したりというのは、まったくオススメできません。

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