(第60回 最終回)日本は人の「出」「入」で開国を目指すべきだ

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これらは、移民マトリックスが示す中国からアメリカへの人の流れと本質的に同じ性質のものだ。1990年代の後半、香港の中国返還を目前として、香港人が大量にカナダに移民した。当時、バンクーバーの空港では、移民入国窓口に香港人の長い列ができていた。中国人が自由を求めて中国から脱出し、他方で彼らを受け入れる国が存在するというパターンは、今でも続いているわけだ。

国際社会は、中国の民主化を期待して単に見守るだけでなく、その実現のために積極的に寄与しうる。日本もさまざまなことをなしうる。

日本は中国の民主化に寄与できる

第一は、「経済の市場化が政治の民主化を進める」というメカニズムを押し進めることだ。これまで見てきたように、中国には、国有企業でなく、国家に大きく依存することのない若い企業が誕生しつつある。こうした企業にとって、国家の介入や統制は足かせになる。経済的自由は、必然的に政治的自由を要求する。したがって、「上からの民主化」が行われる可能性がある。そうした企業の資金調達を助けることで、中国の民主化を助けることができるのだ。

第二は日本が中国人を受け入れることだ。中国からの出先地として、日本は、すでに香港、アメリカについで第3位になっている。それをさらに進めるのだ。

中国からの移民総数は、絶対数では多いものの、人口比では日本と大差がない。しかし、今後、高学歴化に伴って、増える可能性が高い。実際、中国人留学生を見ていると、学位を取って本国に帰国せず、そのままアメリカなどで職を見つけるケースが目立つ。中国人は中国にこだわらないように見える。

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