企画を通せない人に伝えたい「プロの勘所」 累計6000万部売った編集者の「通す技術」

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デメリットや企画の落ち度、不安要素などがしっかり書かれている企画書のほうが、むしろ信頼感を与えてくれます。とはいえ、開き直ってやたらデメリットを書き殴ればいいというわけではありません。

たとえば、同業他社の存在がデメリットならば、それを隠すのではなく、その他社が結果を出している勝因を分析して書く、という具合に「なぜデメリットになっているか」も併記しましょう。それによって企画者が第三者視点で物事を見ることが出来ている証左となり、少なくとも悪印象だけにはなりません。

優れたエンタメ小説では、ヒーローは大活躍の前に必ずピンチに陥るもので、ヒロインとカップルになる前には必ず波乱が訪れるものです。これらのアクシデントは、その後のハッピーエンドをより盛り上げるための演出としてあえて用意されているのですが、企画書にも同じ事が言えるかもしれません。

デメリットや不安点、未完成な部分が正直に書かれていた方が、メリットや利点がより際立って見えることもあります。負の側面は、隠してもいつかは分かってしまうもの。ならば、自分がその「出しどころ」をコントロールし、利用するくらいの心づもりで考えるべきではないでしょうか。

細かな用語の不統一は「ノイズ」を生む

よい企画書の書き方4:印象を決める「細部」に気を遣う

小説では、些細な表記統一に、とても気を配ります。たとえば各キャラクターの人称表もそのひとつです。女性の人称で説明するなら、「私」を汎用的な表現とすると、「わたし」は柔らかな印象、「ワタシ」は理屈っぽい、「わたくし」はお上品そう、「あたし」は天真爛漫……など、細かな違いですが、それだけでキャラクターに抱く印象はガラリと変わります。

大切なのは、一度自分でそのルールを決めたら必ず守ることです。表記不統一は、「読みにくい」という、本筋に関係ないストレスや読むテンポを阻害するノイズを生んでしまうからです。「読みにくい」は、積もり積もって「面白くない」と判断されてしまいます。

企画書も同じく、細かな部分にこそ気を遣うべきです。誤字脱字や表記不統一を避けるべしというのは、その象徴的な例に過ぎません。「細かすぎる」と思われたかもしれませんが、企画書をたくさん読んでいる人ほど、些細な部分にも目がいきます。そんなどうでもいい部分で「この企画書をつくったヤツは気が利かないな」と悪印象を抱かれるのは損です。些細な違いが致命的な判断材料にならないよう、きっちりとチェックをしておきましょう。

よい企画書の書き方5:企画が成立したあとのビジョンも描く

先ほど、僕は以前「電撃文庫」の企画書を作ったと書きました。実はその最後の項目には、「電撃文庫を手に取った(購入した)読者がどのように幸せになったか、楽しんだか」という「夢の姿」についての説明も加えていました。

その理由は、企画書がいかに見栄えよく、さまになっていたとしても、大事なのは企画が成立した後だからです。自分たちの仕事の結果が、どのように影響を与えていくのか、その時は「読者の夢の姿」が最終目的だったため、それも含めてプレゼンをする必要があると判断しました。

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