企画を通せない人に伝えたい「プロの勘所」 累計6000万部売った編集者の「通す技術」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「そんな想像の話、無駄じゃない?」と思うかもしれませんが、企画が成立したあとのビジョンがない企画書は、小説でいうなら、エンディングがない物語のようなもので、個人的にはもったいないと感じます。

たとえば新規商品開発の企画書の場合、その商品ができた結果、どういったムーブメントが世間で起こることが理想なのか、そこまで考えてこそ、共有するビジョンも確かなものになるのではないでしょうか。

「寝かせてみる」これだけのメリット

よい企画書の書き方6:企画書は必ず一晩寝かせる

企画書に限った話ではありませんが、締め切りギリギリで仕上げるものは、心に余裕がないからか、どうしても完成度が低くなりがちです。誤字脱字のチェックすらできません。理想は、一度完成させた企画書を一晩寝かせ、翌日もう一度第三者目線で読み直し、ケアレスミスを見つけて完成度を高めることです。この過程によって、新しい着眼点をみつけることも少なくありません。

これは企画書ではなく小説の話ですが、僕は大抵、最後の見直しのタイミングで作品タイトルを決めることが多いです。電撃文庫『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』という作品のタイトルは、小説本体が完成してからもしばらくはまったく決まらなかったので、凝り固まった考えリセットするためにしばらく原稿を寝かせました。

そして、もう一度読み直したときに、このタイトルをひらめき、作家からも賛同を得、最終決定したのです。結果、この作品は大ヒットしただけでなく、タイトルに対する高評価をたくさんいただきました。

企画書がよくなるか悪くなるかは、ちょっとした工夫で変わります。みなさまも試してみてはいかがでしょうか?

次回の記事では「生産性の高い人と忙しい人の違い」についてお伝えします。

 

三木 一馬 KADOKAWA 電撃文庫編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みき かずま

(株)KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局 電撃文庫編集部編集長、電撃文庫MAGAZINE編集部編集長。≪電撃小説大賞≫最終選考委員。2000年に上智大学理工学部を卒業後、メディアワークス入社。2001年、電撃文庫編集部に配属される。いわゆる『ライトノベル』の担当編集として頭角を現し、担当作品がアニメ化(メディアミックス)したときはアニメプロデューサーとしても活躍する。代表作として、『とある魔術の禁書目録』(累計1580万部)、『とある科学の超電磁砲』(電撃コミックス。累計680万部)、『ソードアート・オンライン』(全世界累計1670万部)、『灼眼のシャナ』(累計860万部)、『魔法科高校の劣等生』(累計675万部)、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(累計500万部)、『アクセル・ワールド』(累計435万部)、『電波女と青春男』(累計150万部)、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(累計135万部)、『しにがみのバラッド。』(累計130万部)、『撲殺天使ドクロちゃん』(累計110万部)など。今まで担当編集を務めた作品は約500冊に及び、累計部数は6000万部を突破している。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事