多文化、多言語主義に世界の「未来」がある 世界銀行総裁から若い人たちへのメッセージ
──排外的な考えが各国に広がっている今、国際間の協調がうまく取れるのでしょうか。リスクや脆弱性への排除に向け、世銀は各国にどのように呼び掛けていきますか。
わたし自身も経済難民でした。1964年に一家で韓国から米国に渡った。当時、韓国は1人当たりのGDPがガーナやソマリアより低かった。米国が難民をオープンに受け入れてくれたおかげです。われわれは各国に、オープンなマインドを持ってくださいと呼びかけています。
また、協調性をもってリスク分析をしないといけない。紛争や脆弱性に対して、なぜテロが起こるのかをシェアしないといけない。状況がひどくなるまで待つのではなく、協力し合って問題に介入していく。今までは国や国際機関が縦割りでやってきましたが、さまざまな組織や団体と融合して分野横断的に取り組んだほうが、紛争や難民、パンデミックに対応できるのです。
──世界が内向きになっていく中で、若い人たちに世界情勢に対する関心が薄れてきているように思えます。彼らにメッセージはありますか。
寛容を求める声が足りない
現時点でも紛争が起こっている。お互いに非難の応酬が続いています。過激派によるテロがひどくなり、一方で排外主義、内向きになって人種差別主義者になっていく。そうすると、両陣営ともどんどん過激化してしまう。今はまだまだ平和を求める声が足りない。寛容を求める声が足りない。世界はお互いに共存していかないといけないのです。多文化、多言語主義に未来があると、若い人には言いたい。
持続可能な地球に生きることができるのか、地球上の気温上昇を抑えられるのか、もっと繁栄を享受できる社会に暮らしていけるのか、これらは若い人に決定権がある。放っておくことで持続可能な社会は作れない。ぜひ未来は自分で切り開いてほしい。
未来を切り開くにはまず世界を眺めることです。解決しないとならない問題があるのなら、自分の世代に影響するので対処しないといけない。海外を見て、できるだけ多くの外国を学んで世界を理解することです。自分との考えの違いを知り関心を持つ。その上で自分の見解をしっかりと打ち立てる。それを怠ると、世界は大変な事態に陥ってしまいます。
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