反原発デモに「普通の人」が続々参加

 

平和的すぎるデモに懐疑的な見方もあるが、主催者の一人、ミサオ・レッドウルフ氏は「政府が音を上げるまでしつこく何度もやるには、安全にやることが大事」と話す。

実際、開始当初、メディアの関心は薄かったが、大規模化に伴って大手メディアが相次ぎ報じ始めている。また、首都圏反原発連合は4月以降、野田佳彦首相との直接対話を要求。7月末に開かれた菅直人前首相など脱原発を目指す超党派議員との会合で、菅氏は「野田首相はデモに大きな影響を受けている。主催者との対話にもやぶさかではないとの姿勢だ」と明かし、近く面会が実現される見通しだ。

とはいえ、デモが実際に政策決定などに影響を及ぼすかは不透明だ。主催メンバーのほとんどは「プロ活動家」ではなく会社員で、デモのある日にはそれぞれ会社を早退するなどして対応している。大規模化に伴って誘導係なども多数動員しており、人材確保や訓練なども必要になってくる。世論を動かすには脱原発以外の意見を持つ人々の理解や共感が必須だが、現状ではこうした層へのアピールも弱い。

また、超党派の議員と交渉を続けているが、7月末の会合では新設の原子力規制委員会の人選をめぐり、首都圏反原発連合と議員たちの意見が衝突。異議を唱えることに消極的な議員たちに対して、反原発連合のメンバーがいらだつ場面も目立った。

主催者は「超党派議員との会合はあくまでスタート。首相との面会もゴールではない。全原発停止まで活動は続ける」(レッドウルフ氏)とするが、デモの大規模化で国民の関心が集まる一方、デモの効果を発揮するには新たな壁も見えてきた。

(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年8月11-18日合併特大号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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