あなたにも出来る!社労士合格体験記(第57回)--自分にもアメリカの年金がもらえる!?
また、日本での就労経験のあるブラジル人にとっても吉報といえます。協定は今後も拡大していく見込みで、イタリアとは既に署名済み、インドとは実質合意に至っています。
協定のメリット
社会保障協定というのは、大きく2つの側面を持っています。一つは、社会保険の二重加入の防止です。例えば日本のサラリーマンが海外赴任すると、かつては日本と相手国の両方の社会保障制度に加入する必要がありました。この場合、保険料はダブルになります。
それが協定を締結することによって、赴任期間等に応じて、どちらか一方の社会保険に加入すればよくなりました。また、相手国から日本に赴任する場合も同様の扱いになるため、企業にとっては負担が軽減されることになります。
もう一つは、イギリス、韓国、イタリアを除いて、かつて二重加入していた期間が通算され、協定発効前は掛け捨てだった年金を受給できる場合がある点です。
例えば、日本は老齢年金の受給資格要件として、原則25年を要件としているのに対して、ブラジルは原則15年を要件としています。もし、日本の年金保険期間が15年、ブラジルの年金保険期間が10年だった場合、協定発効前はどちらも受給資格要件を満たしませんでした。ところが、3月に協定が発効されたことによって、両国の15年と10年が通算され25年となるため、どちらの受給資格要件も満たすということになります。
自分にもアメリカの年金!?
実は、私も1993年から94年にかけてアメリカに駐在していました。アメリカの年金の受給資格は、毎年の税額等に応じて与えられる点数=クレジットによって決まります。年間4クレジットが上限ですが、協定発効前は40クレジットが要件だったため、約10年の赴任経験がないとアメリカの年金は支給されませんでした。