サントリー新体制で試される「プリンス」の力 鳥井信宏氏には、やり残した"宿題"がある

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佐治会長(左)、新浪社長に比べると信宏氏の存在感はまだ薄いようだ(撮影:鈴木紳平)

ただ、このタイミングで信宏氏がHD副社長に就任することに対して、疑問の声もある。SBFの社長在任中、信宏氏が経営者として、目立った成果を上げてきたとは言いがたいからだ。

競合メーカーも「佐治さんや新浪さんと違い、信宏さんについては、これといった情報が入ってこない」と、経営手腕を判断しかねている様子である。

信宏氏は2011年に中核子会社であるSBFの社長に就任。2年後の2013年には同社を東証1部に上場させた。同年、英グラクソ・スミスクラインから飲料ブランド「ルコゼード」「ライビーナ」を取得し、グローバル展開を拡大した。

その一方で、2015年7月にはJT(日本たばこ産業)の飲料自動販売機オペレーター事業と飲料ブランド「桃の天然水」「Roots」を、約1500億円で買収。国内事業の基盤強化も進めてきた。

自販機の統合が喫緊の課題

信宏氏が取り組むべき喫緊の課題が「自販機の統合」だ

会社側は「SBFの経営体制は整いつつあり、一定のメドがついた」と説明するが、自販機事業の統合作業は緒に就いたばかり。買収額に見合う効果を生み出し、国内事業の成長につながるかはわからない。現時点では、自販機事業の買収を信宏氏の功績と見なすのは難しい。

HD社長の後継人物について、2014年当時、佐治会長は「信宏はまだ若い。新浪さんにいろいろ教えてもらって、成長してくれればいちばんいい」と答えていた。

2016年春以降、これまでよりも新浪社長に近い位置で指揮を執ることになる信宏氏。国内事業統括の副社長として、自販機事業の統合を早期に軌道に乗せ、成果を社内外に示すことができるかどうか。SBF社長時代の“宿題”を片付けることが、HD次期社長への第一歩となる。

「週刊東洋経済」2015年12月26日-1月2日号<12月21日発売>核心リポート05を転載)

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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