売買代金首位、レバレッジ型投信の落とし穴 長期保有目的のNISA口座組み入れは要注意

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「ずっと持っていれば、いつか株価指数が上がって、その2倍儲かるだろう」とし、レバレッジ型ETFを長期保有している個人投資家を、井出氏は少なからず目の当たりにしたという。特に、NISA(少額投資非課税制度)口座で非課税となる5年間も持ち続けようとする投資家もいて、そうした投資手法では「レバレッジ型ETFの落とし穴にはまりかねない」と、井出氏は警鐘を鳴らす。

実際には日経レバの人気は過熱する一方で、個人投資家の買い注文が拡大。10月14日には新規設定を一時停止する事態となった。同日の日経レバの純資産は7336億円。日経平均先物の保有枚数が建玉全体に占める割合は、20%に達していたとみられる。

日経平均の日々の終値が定まるのは、株式取引が終了する15時だ。一方、先物取引は、15時15分まで取引できる。純資産の2倍の先物を持とうとすると、事実上、15時から15時15分を中心に、先物の調整売買を行うことになる。運用規模が大きくなると、この約15分間の注文が膨らみ、先物価格に大きな影響を及ぼしかねない。

相場下落時に売買は増加

設定の停止は、あくまで野村アセットと裁定取引を行うマーケットメイカー(証券会社)との間の話で、実は停止期間中も投資家は日経レバを買うことができた。しかし、設定停止中は裁定取引がしにくくなり、狙った運用成果からの乖離が大きくなることもあった。実際に投資を手控えた投資家もいたとみられる。

停止から約2カ月経った12月11日、日経平均先物の建玉全体に占める割合は、12%ほどに低下。野村アセットは同月18日から新規設定を再開することを発表した。

はたして再開後はどうなるか。相場トレンドの影響も大きいので、日経レバの商いが増えるかは不透明だが、日経レバは相場下落時に売買が増える傾向がある。米国の利上げなどで相場が下がると一段と人気化し、再び設定が中止される可能性がある点に、個人投資家は注意したい。

「週刊東洋経済」2015年12月26日-1月2日号<12月21日発売>核心リポート04を転載)

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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