売買代金首位、レバレッジ型投信の落とし穴 長期保有目的のNISA口座組み入れは要注意
反対に日経平均が10%値下がりすると、先物は20億円の損が出る。その結果、純資産は80億円に減少する。先物は180億円相当になっているので、純資産の2倍、すなわち160億円にするために20億円分を売却する。こうした売買によって、日経平均の日々の騰落率の2倍の運用成果を目指している。
ただ、これはあくまでも、1日の騰落率を日経平均の2倍にしようとするものだ。数日、数カ月といった中長期に及ぶと、目標の2倍から乖離することがある。
中長期の投資には不向き?
このことを、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、左図のように実例で検証した。
期間Aは2015年初〜8月17日。期間Bは2015年初〜12月4日。日経レバは、期間Aで日経平均上昇率の2.07倍の投資成果を上げたが、期間Bでは1.85倍しかない。
期間Bが2倍を下回ったのは、株価の大幅下落・急上昇局面を含んでいるためだ。日経レバは株価が下がったときに先物を売る。8〜9月の下落で、先物のポジションを大きく減らしたので、その後に急上昇しても、値上がり益は膨らまなかった。
一方、期間Aが2倍を上回ったのは、ほぼ一本調子の上昇局面だったから。先物のポジションを増やしていくことで、「複利効果」が働いたというのがその理由だ。
こうした値動きの特性は、日経レバのように先物を使って指数の倍の運用を目指す、レバレッジ型ETFに共通するもの。説明書には大抵その旨の注記が載っており、短期向きの投資商品であることが強調されている。が、そのことが個人投資家に十分理解されているとは、言いがたい。
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