ツイッターが「シェア数表示」を止めた事情 傘下企業からの有料データ提供に限定

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ジャーナリズムに関するブログメディア「ニーマン・ラボ(Nieman Lab)」は最近、URLが含まれたツイートのなかで、パブリッシャーのサイトにあるシェアボタンによって生成された投稿の割合を確認するために、簡単な実験を行った

その結果、かなりの幅があったという(「ニューヨーク・タイムズ」紙は、この割合が16%にとどまったが、「ガーディアン」紙は30%近くに達した)。また、「レッド・ステイト(Red State)」や「デイリー・コス(Daily Kos)」のようなイデオロギー色の強い政治関連サイトは、傾向として、シェアボタンから生成されるツイートの割合が高かった。

Facebookはシェア数表示残す

ニュース配信が盛んになるにつれ、パブリッシャーは、読者による記事の拡散を重視するようになっていた。シェアボタンはそのひとつの手段だ。それとともに、いかに人々に記事を読んでもらって、ソーシャルネットワークで共有してもらえるかを解明する作業が生じる。

その分析の結果、Twitterのシェア数表示は大勢に影響がないと結論づけた、一部のパブリッシャーも存在するという。従来のシェア数表示では、リツイートやモバイルアプリを通じた記事の共有など、共有活動の全体像がわからなかったからだ。しかも、現状Facebookへの記事共有のほうがはるかに多く、少なくとも現時点では、Facebookはシェアボタンからシェア数表示を削除してない。

だから、すべてのパブリッシャーが憤慨しているわけではないのだ。

「シェアボタンのシェア数にはあまり頼っていない。コンテンツがどのように回覧されているのか、全体像がわからないからだ。『Adobe Analytics』『Shareablee』『Facebook Insights』『Twitter Analytics』といったツールを使って、もっと総体的に共有を追跡している」。タイム社が発行する「ピープル」誌や「エンターテインメント・ウィークリー」誌のオーディエンス・エンゲージメント担当ディレクターであるクリス・ラックリフ氏はこう語る。

それに、シェア数表示が、考えられているほどは読者へのシグナルになっていない可能性もある。「ニューヨーク・マガジン」誌が、カウント表示があるボタンとカウント表示がないもっと大きなボタンを用いて実験したところでは、カウント表示よりもボタンの大きさのほうが共有行動に影響を及ぼしているようだ、と同誌のデジタル担当ゼネラルマネージャーであるマイケル・シルバーマン氏は述べている。

「『シェア数表示がさらなる共有を促している』という前提でさえも間違っている証拠がある。また、当社のサイトでもほかの多くのサイトでも、当然ながらモバイルでは、タップして共有しない限りシェア数を確認できない」(シルバーマン氏)

そういうわけで、「ニューヨーク・マガジン」誌は、別の方法を用いて、記事がTwitterへどれくらい共有されているのかを調べているという。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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