ワタミ過労自殺、高額和解で渡邉氏も謝った 1.3億円は「懲罰的慰謝料」と逸失利益
会見で原告側の玉木一成弁護士は、「本来、損害賠償裁判では請求できない、相当広範な過重労働防止策を認めさせた」と、今回の和解内容の意義を語った。
判決による決着ではなく、和解を選択したことで、森美菜さんの過労自殺に関する慰謝料に加えて、再発防止策も盛りこむことができたからだ。
ワタミと同じ外食業界では、「日本海庄や」などを運営する大庄で、2007年に従業員が過労死した問題が起きている。会社と役員に損害賠償を命じた、最高裁判決が2013年に確定しており、「外食企業=ブラック」というイメージが広がるきっかけとなった。
このとき、遺族側の弁護を担当した松丸正弁護士は、今回の和解内容について、「ほかの社員にも解決策を与えたという意味では非常に画期的」と評する。そのうえで、「今後、同様の事件を起こした企業には、司法判断としても、社会的非難としても、厳しい判断が相次ぐだろう」と、今回の和解が過重労働訴訟のモデルケースになりうる可能性を指摘する。
問題は、公表した再発防止策が本当に守られるか、だ。松丸弁護士は「今回の和解・謝罪は、ブラック批判の高まりがワタミを追いこんだ結果。会社側の政治的判断ではないか」と見る。
遺族は「反省するなら、いい会社になって」と
和解当日。ワタミは「本日に至るまで、原告側にご心労を与えたことを、心からお詫びする。現在、労働環境の改善に鋭意取り組んでおり、同様の事案の再発防止に努めている」というコメントを発表した。
当初、「道義的責任はあるが、法的責任はない」として争う姿勢を示していた渡邉氏は、同日、ワタミの清水邦晃社長とともに和解協議の場に現れ、自殺した森美菜さんの両親に謝罪した。渡邉氏は、遺族に対し、「1日も早く墓参りに行きたい」と申し出たという。
美菜さんの父、豪さんは記者会見で「本当に反省しているなら、和解条項を守って、いい会社になってもらいたい」と述べた。ワタミの信頼回復の道のりは、ここからが正念場だ。
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