【産業天気図・非鉄金属】市況軟化と資源メジャーの寡占化が製錬事業を圧迫。「買鉱型製錬」からの脱却がカギに

日本の非鉄金属をめぐる状況は、依然として良化の気配に乏しい。07年度後半、08年度とも「曇り」が続くだろう。
 理由は2つある。1つは、主要金属の市況軟化だ。中国をはじめ新興国での需要には底堅いものがある一方、米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の影響が長期化。非鉄金属価格の国際指標であるロンドン金属取引所(LME)の相場をつり上げてきたリスクマネーが流出し、足元は各メタルとも直近の下値ラインを下回る価格水準となっている。
 もう1つは、資源メジャーの寡占化の進展だ。11月には3大メジャーの一角、BHPビリトン(豪・英)が同じく3大メジャーのリオ・ティント(英・豪)に対して買収を提案。リオ・ティントは即日拒否を表明したが、翌月にはスイスの新興メジャー、エクストラータがアングロ・アメリカン(英)、ヴァーレ(ブラジル、旧リオドセ)に対し、経営統合を視野に予備交渉に入ったとの一部報道が流れるなど、規模拡大を目指した再編機運はますます熱を帯びている。
 こうした状況下、鉱石購入交渉においては資源側の交渉力が強まっている。日本の非鉄各社は、海外の資源会社から鉱石を購入し自社の製錬工場で金属地金を生産する「買鉱型製錬」が主流だが、製錬マージンは年々低下。07年からはこれまで慣習とされてきたマージン分配制度も廃止され、製錬側の利益は定額の加工賃だけになっている。目下、08年分の購入交渉が進められているところだが、中国の製錬メーカーが前年をさらに下回る加工賃で交渉を妥結したとの報道もあり、状況悪化に歯止めがかかる期待は薄い。
 国内各社にとっては、従来の買鉱型製錬中心のビジネスモデルからの脱却が急務だ。いち早く多角化を進めてきた三菱マテリアルは、08年4月に伸銅品子会社2社を統合し、伸銅品国内シェア首位となる見通し。ほかにも半導体ウエハ向けの多結晶シリコンが好調を維持し、08年度も営業増益が見込まれる。また、DOWAホールディングスは熱処理や金属加工でM&Aを積極展開。08年度以降は統合効果に期待がもてよう。
 川下ではなく、川上にあたる資源開発に注力しているのが住友金属鉱山だ。「非鉄メジャークラス入り」を標榜し、ペルーのセロ・ベルデ銅鉱山やアラスカのポゴ金山など海外鉱山の開発を進めている。非鉄市況の影響を受けやすい業容のため、08年度は市況軟化の影響を受けそうだが、中長期の成長戦略としては注目に値する。
 電子材料へのシフトを進めていた三井金属は、半導体実装材料の競争激化が大誤算。アジアで汎用品の価格下落が止まらないうえ、自動車部品も回復途上など、本格的な業績好転は09年度以降にずれ込みそうだ。
【猪澤 顕明記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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