技術官僚の理想主義がEU危機の種をまいた--イアン・ブルマ 米バード大学教授/ジャーナリスト

もう一つは永遠平和という理想。1713年、フランス人のカトリック教徒、シャルル=イレネー・カステル・ド・サン=ピエールは、『ヨーロッパ恒久平和論』を出版した。これによれば、欧州上院や欧州軍があり、加盟国は大国であっても他国と同等の投票権を持つとされた。

実際、恒久平和とキリスト教世界の統合は、初期の欧州統合思想家の心の中では同一だった。平和的な統合は宗教的な概念で、キリスト教のユートピアの一つである。国境は、神の地上の国では廃止されるべきものなのだ。

この欧州の理想と同様のものが世界の他地域でも見られる。中国の当局者たちは、今日に至るまで、中央集権、大陸統合、そして社会的な調和、すなわち政治的な対立のない社会に執着してきた。

国境のない平和な世界という考えが第2次世界大戦後、人々の心に訴えた理由は想像に難くない。国家主義は、欧州をほぼ破壊した究極の悪であるとして、人々に非難された。政治的対立のない世界が至福に至る処方箋のように思えたのだ。

ラガルド専務理事は政治的センスがない

モネは生まれながらのテクノクラート(技術官僚)で、政治的対立を憎み、統合を崇拝していた。すべてのテクノクラートと同様、モネは生まれながらの計画者だった。

戦争が終わる前から、多くの人々は経済と社会は可能なかぎり計画されるべきだと信じていた。フランクリン・ルーズベルトのニューディールがその一例であり、ずっと邪悪な形でファシスト国家もそうであった。そして今なお、技術者や顔のないテクノクラートに支配された中国がそうである。

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