国内2輪車販売回復へ販売店と“新契約”。ホンダが意地のテコ入れ
ホンダが国内2輪車販売のテコ入れに本腰を入れている。新製品を次々と投入、販売面でも新たな試みを始め、ハード、ソフト両面で“ホームグランド”である国内市場の強化を進める。
これまで国内の2輪車市場は長期的な下落傾向が続いてきた。2011年の出荷台数は約44万台。ピーク時である1982年の約328万台と比べ、実に約9割も減少した。取得者の負担の多い2輪免許制度、駐輪場確保の問題、若者のバイク離れなど、不振の要因を挙げればキリがない。
ホンダで国内販売を統括する、ホンダモーターサイクルジャパンの井内正晴社長は、「価格面でもお客様のニーズから離れてしまった」と反省する。国内向け2輪車の大半は熊本製作所(熊本県菊池郡)で生産するが、数量減が続き事業採算は悪化。顧客の求める価格を実現することが難しくなっていた。また商品ラインナップを大幅に縮小しており、それがさらなる客離れを招いた側面もある。
グローバルモデルで低価格を実現
反転攻勢は10年から始まった。125ccのスクーター「PCX」、250ccのロードスポーツモデル「CBR250R」を国内に投入。今年5月にはオフロード走行にも適した「CRF250L」を導入した。これらはいずれもタイで生産し世界へ展開するグローバルモデルで、従来モデルに比べ大幅に価格を下げている。
輸入モデルの導入だけではない。今年2月販売を開始した大型2輪車(700cc)の新シリーズ「ニューミッドコンセプト」では、同じエンジン・フレーム・ホイールで3つの異なる機種を展開する。自動車のように「プラットフォーム」を共有化し、コストを下げる狙いだ。熊本製作所で生産するが、部品の約4割を海外から調達。円高下でも全世界に輸出し、数量をまとめる。同シリーズの最廉価モデルは59万8500円からと、400ccクラスの価格を実現した。
井内社長は「ようやくラインナップが見えてきた。使い勝手が良く、ニーズに合った価格を実現すれば、まだまだ訴求できる」と手応えを語る。