男女関係の「別れさせ工作」は公序良俗違反か 探偵業者に依頼、破局を仕掛けた女のケース

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「今回の判決では、対象者である女性らが独身だったということが理由の一つに挙げられています。したがって、仮に、対象女性が独身でなかったとしたら、公序良俗違反と判断された可能性があると考えられます。

さらに、判決でもう一つの理由にあげられている『別れさせ工作』の手段として、肉体関係を持つことを予定していたとしたら、なおさらです」

肉体関係を前提とした契約の場合は?

探偵業者が対象女性と肉体関係を持つことが前提だったとしたら、結論が変わるということだろうか。

「たとえば仮に、対象女性が既婚者で、夫と別れさせようとする場合について考えてみましょう。

そもそも、夫婦間には貞操義務があります。これに違反して不貞行為をすれば、離婚原因となります(民法770条1項1号)。対象女性とその夫は、婚姻により法的に保護されている夫婦関係を築いています。別れさせ工作は、この法的に保護された関係を積極的に破綻させようとするものです。

特に、その手段として肉体関係を持つ場合、貞操義務を侵害する違法な行為となるものです。そのような違法行為を前提とする契約は、公序良俗違反と判断される可能性が高いでしょう。

今回のケースのように、対象女性が既婚者でない場合、パートナーに対する貞操義務はありませんが、探偵業者が肉体関係まで持って別れさせるという手段となると、違法性が認められ、やはり公序良俗違反と判断される可能性があります」

このほかにポイントはあるだろうか。

「今回のケースからいえば、比較的穏当な手段を用いて、あくまで対象女性が、自分自身の自由な意思で正常な判断ができる状態で、男性工作員の誘いに乗ってこなければ、成功するものではなかったという点もポイントだと考えられます。

したがって、たとえば実際に渡していなかったとしても、モノやお金でことさら関心を引きつけるような手段を用いた場合、判断が変わる可能性も十分考えられます」

渡邊弁護士はこのように話していた。

渡邊 幹仁(わたなべ・みきひと)弁護士
新潟県弁護士会所属
離婚・親子関係などの家事事件、男女問題、不法行為に関する事件を数多く取り扱っている。
事務所名:新潟菜の花法律事務所

 

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