義務化された「ストレスチェック」とは何か? 50人以上の事業所は実施、制度には不備も

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今回、事業者にはストレスチェックの実施が義務づけられたが、労働者に受検の義務はなく、全員が受けるとは限らない。回答内容は本人の同意なしに事業者に伝わることはないが、面接指導を受けるには、本人から事業者に申し出る必要がある。

高ストレス者であることを事業者に知られるとなれば、面接の申し出をためらう人も出てくるだろう。メンタルヘルス不調者問題に詳しい峰隆之弁護士は、「ストレスチェックはセルフケアの制度。ストレスを抱え込むタイプの人を救い出すものではない」と指摘している。

関連ビジネスも勃興

一方、以前から独自に従業員のストレスを診断し、職場環境の改善につなげている企業もある。帝人は2003年から毎年、職場ごとのストレスを調査。高リスクと判定された職場には、同僚によるサポートを増やすなどの具体的な目標を設定し、リスクを減らすことができたという。ストレスチェック制度も活用次第では、有効に機能する可能性を示唆する一例といえよう。

制度開始をビジネスチャンスととらえる企業も動きだしている。東京海上日動火災保険は、ある特約をセットした傷害保険などの加入企業を対象に、無料でストレスチェックからデータ保存までを請け負う。ほかにも職場への音楽配信、リラクゼーション機器の販売など、関連ビジネスが盛り上がりつつある。

国としては所期の目的を達成するために、認知度や制度上の不備を是正していく必要がありそうだ。

「週刊東洋経済」2015年12月5日号<11月30日発売>「核心リポート06」を転載)

長谷川 愛 東洋経済 記者
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