中国の機械工業の挑戦に対し、日・独は真剣に対応を--トーマス・リンドナー ドイツ機械工業連盟会長
ドイツ機械工業連盟(略称:VDMA)のトーマス・リンドナー会長が2010年10月の就任以来、初めて来日した。このたび都内で記者会見を開き、業界の展望と、産業空洞化や知財保護など日本とドイツの機械産業が抱える課題について語った。
要旨は以下のとおり。
11年のドイツにおける機械製造およびプラント建設の生産高は、前年比12.4%増の1870億ユーロまで回復した。そのうち輸出は、同14%増の1422億ユーロだった。12年に入ってから景気の伸びは緩やかになり、第1四半期の受注高は前年同期比9%減に落ち込んだが、これは異常なまでに好調だった昨年の反動減ともいえる。第2四半期以降、再び上昇することを期待している。
日本とドイツの機械産業は、研究開発投資を重視しており、高度な技術を持ち、国際的に活躍しているという点で共通している。このため、自由貿易協定など政治的課題や、知財保護、そのための技術開発などについて協力し、情報交換をすることができると考えている。
たとえば、中国は現在までに、他国を大きく引き離す機械製造大国に育った。「第12次5カ年計画」では、機械産業は、“生産量の拡大”から“質の成長”へ方向転換すると示されている。中国の機械産業は外国への技術依存度を縮小し、将来的に輸出競争力を強化してくるだろう。
日本とドイツは、こうした挑戦に対し、真剣な努力をもって対応しなければならない。自由な市場参入ができる環境は不可欠だ。世界貿易機関(WTO)など、多国間レベルで、新興諸国への市場参入の改善を働きかけることが望ましいと思う。