「30歳息子が結婚しない。そんな人生は不完全」→「公園に貼り紙して"子の結婚相手"を募集」。中国で見た《親による代理婚活》のリアル

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実際、中国では「催婚(結婚を催促すること)」という言葉が、毎年の春節において若者の大きな悩みの種となっている。

家族団らんの温かな雰囲気の中で、結婚の話題が繰り返し持ち出されることは、多くの若者にとって精神的な重圧となっている。SNS上では、親からの催婚にどう対応するかという“対処法”が数多く共有されており、こうした現実を如実に示している。

例えば、福州で働く30代の独身女性Aさんは、春節に帰省する際、最も憂鬱に感じるのは親戚や友人からの「なぜ恋人を作らないのか」「もう若くないのではないか」といった言葉だと語る。

彼女は「自分には自分の考えがある。必ずしも急いで結婚する必要はない。今は仕事や個人の趣味を大切にしたい」と話し、人生の選択を自らの価値観で決めたいという思いを示している。

婚姻件数は約10年で半分に

近年、中国では若者の間で恋愛や結婚に消極的になる傾向が、統計データにも明確に表れている。

中国の婚姻件数は長期的に減少を続けており、13年に約1350万組あった婚姻数は、24年には約610万組前後まで落ち込んだ。わずか10年余りでほぼ半減した計算となり、結婚を選択しない若者が如実に増えていることがうかがえる。

実際に、若者の中には結婚そのものを望まない層が一定数存在し、多くが「適切な相手がいなければ結婚しない」と考えている。かつてのように社会的圧力や家族の期待に従うのではなく、個人の幸福や生活スタイルを優先する意識が広がっている。

こうした変化の背景には、まず経済的要因が挙げられる。都市部では住宅価格が高騰し、結婚には住宅購入や安定した収入が求められる場合が多い。さらに教育費や子育て費の負担も大きく、将来への不安から結婚を先送りする若者が増えている。加えて、激しい就職競争や長時間労働により、恋愛や家庭生活に時間や精神的余裕を割けない現実も影響している。

また、女性の社会進出も大きな要因である。高学歴化と経済的自立が進んだことで、女性にとって結婚は必ずしも生活を支える手段ではなくなった。一方で、結婚後に家事や育児の負担が女性側に偏りやすい現状への不安から、結婚に慎重になる傾向も指摘されている。

現在の中国では、若者が恋愛や結婚から完全に離れているというより、「慎重化」「晩婚化」「非婚化」が同時に進んでいると言える。結婚を人生の当然の選択肢とする時代から、個人の価値観や生活設計に応じて選択する時代へと移行しつつあるのだ。

この点が、現代中国社会の大きな特徴の1つであり、それを心配した親による「代理婚活」は今後も活発に続いていくことだろう。

【もっと読む】「結婚しないなんて親に申し訳なくないの」なども。中国で親の《催婚》が日本とは桁違いに"重い意味"を持つワケ。「結婚させたい親」の実態に迫る
黄 文葦 ジャーナリスト

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こう ぶんい / Kou Buni

日本と中国、日本語と中国語を愛する在日中国人フリージャーナリスト。学校法人白萩学園名誉理事。中国の大学と日本の大学院でマスコミを専攻、日中両国のマスコミの現場を経験。2000年来日以降、日本語と中国語で教育、社会、文化の問題に焦点を当てたコラムを執筆し、両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。19年に電子書籍「日中文談: 在日中国人の日本観(エッセイ)」を出版。20年8月から23年7月までの3年間、日中文化比較のメルマガ「黄文葦の日中楽話」を発行。24年10月、「新中国語から中国の『真実』を見る」(風人社)を出版。

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