工事はなぜ止めるのが難しいのか? メガソーラー問題で浮かび上がった「林地開発許可」の盲点
千葉地裁に提訴した住民の一人で、鴨川の山と川と海を守る会代表の勝又國江さんによると、ポイントの一つに、太陽光パネルで地面を覆うと、降った雨が地中に浸み込まずに事業地内から流れ出て災害を誘発する、という問題がある。
この問題は専門家が早くから指摘し、林野庁の検討会での議論をもとに林野庁長官が2019年12月、「降った雨の1割が地中に浸み込んで9割が流れ出る、もしくはすべて流れ出る」ことを意味する「流出係数0.9~1.0」を使った計算をしたうえで排水設備を作りなさい、と都道府県あてに通知している。
一方、千葉県は、「0.7」という流出係数を使って雨水排水施設の計算を行った。林野庁検討会での議論を知っていた住民たちは、不服審査請求時から、「これでは不十分な防災施設ができてしまい、大雨に対応できない」と主張したが、県に相手にされなかった。
林地開発許可の取り消しを求めた訴訟は今後、実質的な審理が始まる。
林野庁の検討会で取り上げられた課題
林地開発許可制度は1974年にスタートし、森林法により「保安林に指定されていない民有林」の開発を許可する際の基準と運用を定めた。高度経済成長期に続く1975~1994年ころには、工場・事業用地や住宅用地の造成、土石の採取のための開発が多かったが、その後は許可申請、許可の件数とも減少した。
ところが、2012年7月に再生可能エネルギー特別措置法による再エネの固定価格買い取り(FIT)制度が始まると、太陽光発電施設の設置のための林地開発が急増。林野庁は2019年と2022年に「太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会」を設けて、制度を見直した。
その結果、「流出係数」や森林を伐らずに残す残置森林率や配置についての修正が行われた。2023年4月からは許可が必要となる開発面積が、従来の1.0ha超から、0.5ha超に引き下げられた。



















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