政治学者のベンジャミン・モフィットは、現代のポピュリズムをメディアを介した「パフォーマンス(政治的スタイル)」と評したが、安野氏のAIアバター「AIあんの」による24時間対話は、その極め付きと言える。
「リーダーとの直接的なつながり」のシミュレーションであるが、2.5万件以上の意見を集約し、それをAIが即座に政策リポジトリに反映させるプロセスを可視化。これは有権者に「自分の声が1秒で政治に届いた」という効力感を与え、既存の陳情という古いプロセスを遅くて不透明なものとして相対化してみせる試みであった。
既成政党や族議員といった「古いエリート」を通さず、AIを通じて有権者の声を直接政策に反映させる仕組みは、まさに「職業的専門性と民意の直結」であり、ポピュリズムの進化系と言えるだろう。
「空虚な象徴」も支持を集めるうえで重要だ
政治理論家のエルネスト・ラクラウは、多様な不満を1つにまとめる「空虚なシニフィアン(象徴)」がポピュリズムには不可欠だと説いた(『ポピュリズムの理性』、澤里岳史・河村一郎訳 、明石書店)。
具体的には、多様な不満や要求を一つにまとめ上げ、「国民」という集合的主体を創り出すために用いられる便利な記号や言葉を指す。空虚と表現しているが、否定的な意味合いではない。特定の具体的意味を持たない記号が、社会の多様な要求の受け皿となるということだ。「国民」「自由」「変化」など、誰でも自分の希望を投影できる抽象的な言葉が使われやすい。
チームみらいの掲げる「みらい」は、若者には「給与増」、高齢者には「介護のDX」、現役世代には「育児支援」といった具合に、各自が異なる希望を投影できる「空虚なシニフィアン」としてうまく機能した。
なぜ中道改革連合は惨敗し、チームみらいは勝ったのか。一言で言えば、中道が保身のための野合にしか見えない「昭和的な組織文化」「数の論理」という古いOSで戦ったのに対し、チームみらいは「UX(ユーザー体験)」という新しいOSを提示したことにある。
有権者にとって、チームみらいを支援することは「政治活動」ではなく、「優れたサービスを使い、社会をアップデートするプロジェクトに参加する」という、現代的なコト消費的な体験へと変質していたのである。


















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