「多少の英文法ミスがあってもいいのでは?」は東大には通用しない。東大入試がいまだに"細かい英文法"の問題を出し続ける理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

社会人でこのようなミスを犯したり、あるいは誤字脱字の多い文章を書いたりしていると、きっと相手の信用を損なってしまうでしょう。それと同じで、英語も正しい文法に基づいて運用できないと、余計な誤解を招く恐れがあるだけでなく、相手との信頼関係に影響する可能性もあるのです。

さらに、文法はメッセージを発する時だけでなく、受け取る時でも同じように重要です。たとえば、“I stopped thinking.”(私は考えるのを止めた)と“I stopped to think.”(私は考えごとをするために立ち止まった)のように、動名詞と不定詞どちらを使うかで大きく意味が異なる例もあれば、“I love only you.”(私はあなただけを愛している)と“Only I love you.”(あなたを愛しているのは私だけ)のように、単語の配置によって意味が変わるパターンもあります。

文法の知識がなければ、このような違いを区別して、相手の意図を正しく解釈することはできませんよね。

最近ではAIによる翻訳の精度が上がったこともあり、そこまで勉強していなくても、ある程度の意思疎通は楽にできるようになりました。また、「日本人が英語を話せないのは細かい文法を気にしすぎるからだ。間違いを恐れずに話す勇気が必要だ」というような話を耳にすることもあります。

英語を学ぶ上では、たしかにこのような積極的な姿勢も大切です。しかし、細かいニュアンスまで含めて自分の考えを伝えたり、相手の意図を正確に汲み取ったりするためには、やはり文法の知識は欠かせないでしょう。日本語でも漢字や助詞を1つ間違うだけで大きく意味が変わることがあるように、英語でもたった1語の有無が文意に大きな影響を及ぼすことがあります。

東大入試に込められたメッセージ

東大の良問10に学ぶ英語の思考法 (星海社新書)
『東大の良問10に学ぶ英語の思考法 』(星海社新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

そう考えると、東大が入試で文法問題を出し続けている理由は、「真の相互理解のためには、正確な文法の理解と運用が不可欠だから」に他ならないでしょう。

東大の公式ウェブサイト「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと」を見ても、英語の項で同じような旨が記載されています。基本的な文法や語法に基づいた問題が多いのも、「難しい単語や言い回しばかりに気を取られず、地に足をつけた勉強を」というメッセージに思えてなりません。

このように東大入試の問題は、英語を学ぶ意義や基本の大切さ、そして実際に使ってみる楽しさを教えてくれます。文法問題の他にも、思考力・読解力・表現力を正面から問う良問がたくさん詰まっているので、英語の勉強をしている人はぜひ一度チャレンジしてみてください。

青戸 一之 東大卒講師・ドラゴン桜noteマガジン編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

あおと かずゆき / Aoto Kazuyuki

1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。著書に『あなたの人生をダメにする勉強法 「ドラゴン桜」式最強タイパ勉強法で結果が変わる』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事