鳩山氏の判断の甘さには与野党から反発が出た。続く菅直人政権では、東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故に対する不手際が批判を浴びた。さらに後継の野田政権では消費税率引き上げをめぐって民主党内が分裂。民主党を支持した有権者の失望が強まった。
野田首相による解散・総選挙の結果、民主党は壊滅的な敗北(57議席)を喫し、安倍総裁が率いる自民党は294議席を得て政権に復帰した。
ただ、野田首相は退任の直前、自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表と「社会保障と税の一体改革」で合意。社会保障の充実のために5%の消費税率を段階的に8%、10%に引き上げることを柱とする法案を国会に提出し、成立にこぎつけている。この判断が、年金や医療、介護の基盤を支えてきたことは評価できる。
抽象的な目標を掲げただけの高市政権
高市首相は郵政民営化や普天間の移設のような具体的な政策課題を示したわけではない。「日本列島を強くする」といった抽象的な目標を掲げただけだ。それでも、自民党に投票した多くの有権者は「高市氏なら変えてくれる」「暮らしをよくしてくれる」という期待を抱いていた。それが実現しないようだと、熱狂は徐々に失望に変わっていくだろう。
「熱狂から失望」を繰り返さないためには何が必要か。国民の願いに応えて、物価高対策などで具体的な成果を上げることが欠かせないが、国の財政事情は厳しく、かつてのような大盤振る舞いはできない。少子高齢化が続く中で社会保障の見直しも避けられない。防衛費増額のための増税も必要となってくるだろう。給付の削減や負担増といった国民の痛みをともなう政策について、高市首相が粘り強く説明し、合意をまとめ上げられるかどうかが焦点となる。
自民党や維新の中には、憲法改正やスパイ防止法の制定など保守色の強い政策を進めるべきだという意見がある。だが、多くの世論調査によると、物価高対策や社会保障の整備などに比べて憲法改正などの優先度は高くない。懸案が山積する中で、政権のエネルギーをどこに振り向けるか。優先順位を誤れば、政権は勢いを失っていくだろう。
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