そうした懸案に対応するため、高市首相が自民党内の支持基盤をどう築くかがポイントとなる。高市氏は党内で「一匹狼」的な存在で、有力な支持基盤を持たない。ただ、2021年の総裁選で高市氏は安倍晋三元首相の支援を受けたことなどから、旧安倍派とは近い関係にあった。
その後、派閥の裏金問題の反省から、麻生派以外の派閥は解散した。今回の総選挙を受けて、萩生田光一幹事長代行や西村康稔元経済産業相ら旧安倍派の幹部が「高市支持グループ」を結成したりすれば、「派閥の復活」といった批判を浴びることは間違いない。
過去2度の「劇場政治」の果て
政策や政治手法をめぐって国民の支持が離れ、総選挙で見られた熱狂が失望に変わっていくことはないか。思い起こされるのが過去2度の「劇場政治」だ。
05年、小泉純一郎首相は「郵政民営化の是非を問う」として衆院の解散・総選挙を断行。民意は小泉氏の決断に喝采を送り、自民党は296議席(定数480)を獲得して圧勝した。小泉自民党は選挙戦で「郵政を民営化すれば、社会保障も外交もよくなる」などとアピール。民主党など野党側は「郵政民営化だけが争点ではない」と反論したが、小泉ペースを崩すことはできなかった。
選挙後に政府・自民党内では、この圧勝を受けて、当時5%だった消費税率の引き上げと社会保障の整備を進めるべきだという意見が出たが、小泉氏は拒否。選挙の翌06年の総裁選には出馬せず、首相の任を終えた。
この間、小泉政権が進めた規制緩和によって非正規雇用が拡大、貧富の格差も広がった。公共事業の削減などを受けて地方の疲弊も深刻化。国民の失望が広がった。続く安倍晋三、福田康夫、麻生太郎各政権下でも国民の不満は収まらず、09年の総選挙で自民党は惨敗。鳩山由紀夫氏が率いる民主党が圧勝(308議席)し、政権交代が実現した。この総選挙でも有権者は熱狂し、鳩山氏の演説会には多くの有権者が集った。
鳩山氏は選挙期間中に、沖縄のアメリカ軍普天間飛行場の移設について「最低でも沖縄県外、できれば国外」と主張していた。だが、鳩山政権発足後にアメリカ側と交渉したものの、理解は得られず、移設問題は動かなかった。


















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