「出雲の人々の心を魅する純朴さは、ここにはありません」 朝ドラ「ばけばけ」ハーンが"面白味がない"と熊本ディスった理由
そう誘われて月のない晩に寂しい道を歩きながら、山の麓までいき、さらにその上にある、というので、2人で小道を上っていくと……そこは墓地だったという。ちょっとしたホラーだが、ハーンは「あなた、あの蛙の声聞いて下さい」とセツに語りかけた。
そのように日常生活のなかで、何とか楽しみを見つけつつ、旅行にもよく出かけたようだ。
「夏休みに伯耆から隠岐へ参りました。隠岐では二人で大概の浦々を廻りました。西郷、別府、浦の郷、菱浦、みな参りました。菱浦だけにも一週間以上いました」(小泉節子著『思ひ出の記』より)
もともと旅が好きだったハーン。熊本の土地にしっくり来なかったこともあり、妻のセツとあちこちに行き、その土地土地の日本の文化に触れることで、リフレッシュしていたのかもしれない。
職場もギスギスしており執筆へと逃げる
熊本時代のハーンは、仕事上でも手ごたえを感じられずにいた。
生徒は松江の頃よりも年上の16歳から23歳で、頭の中は大学受験のことばかり。都会の大学を目指す学生たちに、ハーンがいくら熱心に日本文化の魅力を語ったところで、心に響くはずもなかった。
教室外では、教師の同僚と対立してしまったり、出版社とはトラブルが生じたりと、踏んだり蹴ったりだったハーン。そんなときだから、執筆ははかどったらしい。この頃に、来日第一作となる出世作『知られぬ日本の面影』を仕上げている。
ハーンは赴任して3年で熊本を去ることを決意。次は神戸へと移っていくのだった。
【参考文献】
E・スティーヴンスン著(遠田勝訳)『評伝ラフカディオ・ハーン』(恒文社)
牧野陽子著『ラフカディオ・ハーン-異文化体験の果てに』(中公新書)
小泉八雲著、池田雅之編『小泉八雲コレクション さまよえる魂のうた』(ちくま文庫)
小泉節子著、小泉八雲記念館監修『思ひ出の記』(ハーベスト出版)
小泉凡著『セツと八雲』(朝日新書)
NHK出版編『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』(NHK出版)
工藤美代子著『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』(毎日新聞出版)
櫻庭由紀子著『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』(内外出版社)
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