しかも、自民党は比例区で計14議席を取りこぼし、中道に6議席など、各党に議席を譲り渡すという“異常事態”も起こった。
そもそも比例区は、政党別の得票数に応じて議席が配分される、いわゆる「ドント式」の仕組みだ。自民党は今回、東京ブロック(定数19)で8議席分の比例票を獲得したが、同ブロックで自民党の比例名簿に記載された候補者32人のうち29人は小選挙区に重複立候補していたため、全員が小選挙区で当選となった。
このため、比例区で当選できるのは3人だけとなり、5人が「取りこぼし」となった結果、公職選挙法の規定で、中道に2議席、国民民主、参政、みらいに各1議席が割り当てられた。「自民党も想定していなかった“バカ勝ち”」(選対幹部)がもたらした珍事だった。
石破氏が苦言「信任は白紙委任とは違う」
永田町でも「異常」とされた高支持率を背景に、60年ぶりとされる通常国会冒頭での衆院解散に打って出た高市首相が仕掛けた「私を選ぶかどうか」という“首相選択選挙”。選挙アナリストは「多くの国民が憲政史上初の女性首相への期待からこぞって1票を投じた」と指摘する。「まさに高市戦略は大当たり」(官邸筋)となった。
このように過去にも例のない“圧勝劇”だっただけに、「自民党内も『物言えば唇寒し』の空気があふれている」(中堅議員)のは当然だ。その中で、あえて異論を唱えているのは、やはり石破茂前首相だった。
これまでどおり鳥取1区で圧勝、14回目の当選を果たした石破氏は、記者団から「高市政権の『信任』と受け止めるか」と詰められると、「『期待値』としての『信任』と受け止めているが、『信任は白紙委任とは違う』」などと指摘した。
そのうえで「大事なのは実績に対する評価で、高市総理が一番よくわかっていると思う。多くの議席をいただいたからといって、何をしてもいいという話にはならない。急な解散により、党内でも政策が吟味されていない」とし、消費税減税に伴う代替財源や「非核三原則」「武器輸出三原則」などの議論が深まらないまま選挙に突入したことも踏まえて、「実績による評価はこれからだ」と慎重な政権運営の必要性を訴えた。
実際、自民党も想定していなかった「桁外れの大勝利」(同)に、同党内からは「勝ちすぎだ。これからが怖い」(党長老)との声も聞こえてくる。そもそも、“超タカ派”とみられている高市氏には党内からの批判・反発が根強く、なおも党内多数派とされる「穏健保守グループ」は早くも水面下で「高市独裁阻止」に動き出しているとされる。


















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