政権基盤の強化により、高市首相は歳出案の実行のほか、憲法改正に動くことも可能になる。
高市首相は8日夜にフジテレビの番組に出演し、経済財政政策の大転換、安全保障政策の強化、情報力の強化など選挙で訴えた政策について「ご信任をいただけたら本当に一生懸命、取り組まなければいけない」と述べた。
2024年衆院選、25年参院選で連敗し、総裁交代が続いた自民党にとって、今回の勝利は驚くべき立て直しとなる。政界全体で、移民規制の厳格化や減税を打ち出し、数十年ぶりの物価上昇に対処すると訴える勢力が支持を広げている。
高市氏の勝利は、05年の小泉純一郎元首相、12年の安倍晋三元首相の圧勝に重なる。両氏と同様、高市首相は親しみやすさと決断力のイメージを持ち、大胆な新経済構想による明るい将来像を掲げ、有権者の支持を得た。
首相の経済観は、防衛戦略とも整合
米通商代表部(USTR)元次席補佐で、現在は助言会社アジア・グループでプリンシパルを務めるデービッド・ボーリング氏は高市首相について、「彼女は日本国民に希望を与えている」と述べ、「思想的には保守だが、楽観主義と魅力、そしてコミュニケーション力で勝っている」と指摘した。
高市首相は、衆院選を自身の指導力を問う国民投票と位置付けることで大統領選のような戦いに変えた。対抗勢力が完全に崩れたことも追い風となった。首相の国家主義的姿勢を懸念する声があったにもかかわらず、立憲民主党と公明党の衆議院議員によって結党された中道改革連合は大幅に議席を減らした。
次の課題は官僚とのあつれきになりそうだ。食料品の消費税ゼロに向けた協議を加速させるとの首相の表明を受け、国債利回りは急上昇し、防衛費などの歳出増の財源を巡る懸念は拡大した。政府の年間支出の4分の1はすでに債務返済に充てられており、債務残高の対国内総生産(GDP)比は約230%と、先進国で最大だ。
ジャパン・フォーサイトの創業者、トビアス・ハリス氏は高市首相について、「彼女は財務省と争う構えだと思う」と述べ、選挙戦でそれをほのめかしていたと説明した。
高市首相の優先政策の一つは、サイバーセキュリティーやサプライチェーン、重要鉱物を含む経済安全保障への投資だ。これは、市場の力を解き放つことを重視した小泉氏や安倍氏とは異なり、国家が経済において大きな役割を果たすべきだという高市氏の考えを示している。
首相の経済観は、防衛戦略とも整合する。高市首相はトランプ米大統領と良好な関係を構築し、3月19日にワシントンで首脳会談を予定している。一方、台湾有事を巡る発言は中国の反発を招いた。
強力な信認を得たことで、高市首相が行き過ぎた対応に出たり、市場の大きな変動を招いたり、家計を重視した経済課題から軸足を外すリスクはある。それでも短命政権が続いてきた近年の日本政治の流れを変える存在となりそうだ。
ボーリング氏は「自民党は勢いを取り戻した」と述べた上で、高市首相が「勢いを回復させ、今や党の将来を左右する立場にある」と指摘した。
著者:Alastair Gale、村上さくら
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