「業界地図」見方・使い方④ 「比べて読む」方法とは? 過去10年で伸びた会社・伸びなかった会社の違いを知ろう

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次に半導体業界を見てみましょう。10年前、2016年版の業界地図を見ると、世界のトップはインテル(INTC)で、その規模は断トツでした。しかし、10年後の2026年版では、世界のトップにエヌビディア(NVDA)が立っています。

両者の違いは、ビジネスモデルにあります。業界においてはインテルが自前主義で、自社で設計から製造まで一貫して手がけています。一方のエヌビディアは、製造工場を持たないファブレスとして、自社は設計に特化して、生産は台湾のTSMC(TSM)に委託しています。

自前主義にこだわったインテルは半導体を、回路を細くして処理能力を上げる微細化の競争についていけず、設計に特化して、製造を委託するエヌビディアの後塵を拝しています。

その結果は明白です。エヌビディアの売上高は10年間で32.7倍、TSMCは4.1倍になっています。一方で、インテルの売上高は1.1倍の微増にとどまっています。株価で比べると、エヌビディアの4兆3300億ドルに対して、インテルは1657億ドルです。

日本勢を見ると、ソニーグループはCMOSセンサーで大きく業績を伸ばし、部門売上高は3.8倍に、ルネサスエレクトロニクスも積極的な買収で売上高は1.7倍になっています。

それでもやはり、エヌビディアやTSMCの成長は驚異的だったといえるでしょう。

比較から何を読み取るべきか

ここから注目すべきことが2つあります。

やはり、売上高を伸ばす会社が強いということです。ある業界にとってはM&Aかもしれませんし、別の業界にとっては価格や商品戦略かもしれません。とにかく売上高を伸ばし、利益を積み上げ、再投資に回さないと、世界の競争には勝てず、停滞してしまうという現実です。

もう1つは、今をときめく、エヌビディアにしてもTSMCにしても、10年前の業界地図に載っており、突然表れたわけではないということです。

自動車の場合は米テスラ(TSLA)や中国のBYDなど、新興メーカーが急激に業績を伸ばしていますが、それでも業界地図が塗り変わるには数年単位の時間がかかります。

エヌビディアやTSMCの記述は昔からビジネスモデルに注目したものでした。もちろん細かい戦術は変わっているかもしれませんが、ファブレス、製造受託といった根幹の戦略は変わっていません。

こうした俯瞰的な視点は、業界地図の誌面を眺めることで見えてくるものです。株式投資や就職活動にあたっては、こうした要因をよく検討することはとても大切です。

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