SF作品に出てくる銀河帝国では、商取引の際に金利をどう計算しているのか?1日の長さが異なる惑星間での、会計ルールを徹底考察

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ただしそれは「会計の主体が人間であるかぎり」という条件つきの話。

もしどこか遠くの惑星に人類が移住した後、突然、地球に対して「われわれの星では本日より45時間を1日とする」といった宣言がなされたら、人類とは生体リズムの違う異星人がその惑星を侵略し、人類のコロニーを乗っ取った可能性があります。

もちろん、人類がほかの天体に移住したことはこれまで一度もないので、実際には何が起こるかわかりません。

ヒトは太陽の光を浴びないと体内時計がリセットされず、25時間を1日と感じるようになるという説もあります。すると、地球時間で暮らすのは不都合になることも考えられます。

それでも、数年後には地球に戻る予定で移住したなら、多少のストレスは我慢して地球時間で暮らすと思います。

しかし、その惑星に永住するつもりで行ったなら、「1日25時間で生きていこう」と決めるかもしれません。その場合は、地球との交渉で会計の最小時間単位を見直すことになるでしょう。

銀河帝国では金利をどう計算しているか

宇宙を舞台にしたSF映画を観ていると、私としては「金利計算はどうしているんだ?」と気になることがよくあります。

たとえば『DUNE/砂の惑星』という作品の舞台は、皇帝が統治する広大な銀河帝国です。銀河ですから、そこには多くの惑星系が存在します。

その惑星のひとつがアラキス(通称デューン)という砂の惑星です。そこで採掘されるメランジという物質は、宇宙航行にも欠かせない最重要資源です。

そのメランジ利権をめぐって、それぞれ自分の領地として支配する惑星を持つ貴族たちがくり広げる戦いや陰謀を描いた壮大な作品です。

いわば「銀河レベルの経済活動」ですから、当然、そこには会計ルールがあるでしょう。

作品の中ではそんなことまで描かれませんが、帝国内の貿易や金融がどのように行なわれているかを想像するのは、「宇宙の会計」を考える上で良いトレーニングになるはずです。

この場合、銀河帝国全体に共通の「銀河標準時」が設定されている可能性が高いと私は考えます。もしかしたら、この経済圏の最重要資源メランジを産出するアラキスの現地時間を、標準時として採用しているかもしれません。

しかし、標準時をどのように設定しても、それぞれの惑星はお互いに遠く離れた恒星のまわりを周回していますから、標準時と現地時間の差はバラバラです。

各惑星の貴族が帝国に納税するにしても、それぞれの「1年」の長さに何倍もの違いがあったのでは、公平な税制をつくるのも大変です。

金利計算のベースとなる時間単位も、単純に銀河標準時に合わせるだけでは現地時間との差の大小によって有利不利が生じ、「惑星間格差」が問題視される可能性があります。

ここまで広範囲な経済活動となると、まずはそれぞれの惑星が現地時間による会計を行なったほうがわかりやすいかもしれません。その上で、ローカルな会計データを標準時の会計データに何らかの方法で変換するのです。

銀河帝国の経済を合理的に進めるには、そういう会計処理のための高度な数学や統計学が発達する必要があるのかもしれません。

山口 不二夫 明治大学専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 専任教授

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やまぐち ふじお / Fujio Yamaguchi

1957年、千葉県生まれ。東京大学経済学部、東京大学大学院博士課程で学ぶ。経済学博士(東京大学)。神奈川大学専任講師・助教授、青山学院大学助教授・教授を経て、2004年より現職。会計の面白さをわかりやすく伝える講義に定評がある。会計理論学会 元会長・現常任理事。著書に『火星の決算日はいつになる? 地球人のための会計入門』(東洋経済新報社)、『日本郵船会計史』(2001年日本会計史学会賞受賞、白桃書房)、『日本の新会計基準』(共編著、東京教育情報センター)など多数。

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