SF作品に出てくる銀河帝国では、商取引の際に金利をどう計算しているのか?1日の長さが異なる惑星間での、会計ルールを徹底考察
ちなみに、国際的な金融取引ではお互いのあいだに時差があるので、1日の始まりと終わりをどこに設定するのかをあらかじめ決めておかなければなりません。
一般的には、協定世界時(UTC)やグリニッジ標準時(GMT)を基準にすることが多いようです。
UTCとGMTは基本的に同じですが、測定方法が異なるため、厳密には差があります。それも地球の自転による影響なのですが、数年に1度「うるう秒」を導入して両者のズレを調整しなければいけません。
火星の1日は地球より約37分長い
地球上の国際取引では、たとえ時差があっても、1日の長さはどこの地域でも24時間です。そこは違いがないので、UTCなどの基準を決めておけば、金利の計算などに問題は生じません。
では、地球の外にいる相手と取引する場合の金利計算はどうなるでしょう。あらかじめこの基準を決めておかなければ、金融が成り立ちません。
地球の周回軌道上にある宇宙ステーションや月ぐらいまでは、地球のUTCを基準にすれば問題ないだろうと思います。月で地球から借金をしても、利子の日割り計算は、地球で借金をした人と同じようにすればいいでしょう。
しかし火星よりも遠方になると、やや微妙になってきます。火星の1日は地球より37分ほど長いので、火星で地球から借金をした人は「火星時間でカウントしてくれ」と言いたくなるかもしれません。
火星の場合はまだ1日の長さが地球と近いので、どちらに合わせるにしても、交渉はしやすいのですが、もっと遠くの天体になると、地球とまったく違う長さの「1日」があり得ます。それをどう調整するかは、かなりの難題です。
ただ私自身は、どこの天体で経済活動をするにしても、それが人間である以上は、24時間を1日とするのではないかと見ています。
というのも、人間にとっての「1日」を決める要素は、地球の自転周期だけではありません。
私たちは生理的に、24時間をひとつの単位として生活するようにできています。
たとえば朝になると血圧と心拍数が上がり、昼には血中のヘモグロビン濃度が高くなり、夕方には体温が上がり、夜には尿の量が多くなる。深夜には免疫を担う細胞の数が最多になり、成長ホルモンが盛んに分泌されます。
こういった体内時計(サーカディアン・リズム=概日リズム)を生む遺伝子やそのメカニズムも明らかになっており、2017年にはそれを発見した研究者たちがノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
したがって、どこか遠くの惑星に移住したからといって、その遺伝的な性質が移住先の環境に合わせてすぐに変わることはないでしょう。
何万年も経てば移住先の自転周期に適応するように進化するかもしれませんが、しばらくは24時間を1日とするライフスタイルのほうが馴染みやすいはずです。
もっとも、それぞれの系外惑星でも、地球にとっての太陽と同じような恒星が昇ったり沈んだりをくり返しています。その「日の出」で始まる1日と地球時間の1日がズレるのは気持ちが悪いような気もします。
でも、ほかの惑星の大気は地球と違うので、屋外でその惑星系にとっての「お天道様」を眺めながら人間が暮らすのは無理かもしれません。建屋の中で人工的に空気をつくって、ほとんど外に出ずに暮らすはずです。
照明によって昼と夜も人工的に操作すれば、地球時間で暮らし続けても問題ありません。ですから、会計の最小時間単位は宇宙でも変わらないと私は思います。


















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