「例えば、教材費を精算する学年会計の計算は、学期途中で転出する児童がいるなどで、非常に複雑です。学期末に決算報告書の数字が合わないと、本来なら子どもたちと向き合えるはずの休み時間もその作業にかかりきりになります。これは本当に教員がすべき仕事なのか。当時からずっと疑問でした」
こうした負担が積み重なった結果、藤田さんの前任校では長時間労働が常態化していたという。
「朝は始業時刻より1~2時間早く出勤し、放課後も残業して、1日4時間程度の時間外労働は当たり前。パソコンを持ち帰って自宅で仕事をする教員も少なくありません」
書類作成や報告業務の多さが、子どもと向き合う時間を削る一因となり、授業改善に取り組む余裕を教員から奪ってしまっているのではないか。
そんな問題意識を抱くに至った藤田さんは、教育委員会への異動を機に、現場の教員が少しでも授業や児童生徒との関わりに時間を充てられるようにするための業務整理などの提案を行ってきた。
しかし、上司からは「前例を踏襲してほしい」と却下されるケースが続いたという。
「学校現場に問題があるのはわかっていても、問題を問題にしない。それが教育委員会の基本的なスタンスなのです。これでは新しいことにチャレンジする余白がありません」
「失敗できない」空気が創造性を摘み取る
藤田さんは指導主事として学校現場を回る中で、教員たちの間で「失敗できない」というプレッシャーが強まっていることを肌で感じるという。
「私が教員になった頃よりも、何かをする際の説明責任が格段に重くなりました。若い教員が『こんな授業をしたい』と思っても、失敗を恐れてなかなか踏み出せない。『失敗しないのが一番』という風潮があることは大きな課題です」




















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