管理職が変われば、前年度までの取り組みが白紙に戻ることもある。そのような状況を考慮すると、教員が「上」の顔色をうかがい、「事なかれ主義」に陥っていくのも無理はない。
「教頭になる前に教育委員会を辞めるつもり」
前例踏襲を重んじる教育委員会に身を置いたことで、藤田さんは皮肉にも「教員の仕事がいかに創造性に満ちているか」を再確認したという。
「授業は子どもたちの興味などに合わせて『学びの物語』を組み立てる創作活動です。限られた時間や資源の中で最適解を探る教員の姿は、まさにクリエイターそのもの。創造性を発揮できる教員の仕事の魅力をもっと発信していきたいと考えています」
しかし、今後思い描くキャリアについて尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「教頭になる前に教育委員会を辞めるつもりです。指導主事から教頭に昇進する試験は、年功序列で合格者が決まると聞いています。30代の私にチャンスが回ってくるのは当分先ですし、何よりこの組織のあり方に疑問があります」
退職後は研究職や国立校・私立学校での勤務などを視野に入れているが、根底にあるのは「公教育を良くしたい」という一貫した思いだ。そんな藤田さんには、閉鎖的な組織に風穴を開ける第一歩として、教育委員会を去る前にやりたいことがあるという。
「もっとフラットな研修をしたいですね。指導主事や大学教員が一方的に話すのではなく、音楽フェスのような『教育フェス』くらいのラフな形で、立場に関係なく皆が集まって学び合える場を教育委員会として実現させたいです」
藤田さんのような志ある人材が、組織を見限らなければならない現状は、公教育にとって大きな損失だ。
近年では新たな視点を取り入れるために、教育委員会に外部人材を迎え入れている自治体もある。学校改革を本気で進めるならば、現場に変化を強いる前に、まずは司令塔である教育委員会自らが「古い体質」を脱却することが不可欠だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら























無料会員登録はこちら
ログインはこちら