中国人留学生激減か…8割が学生募集に打撃、早稲田大学の「留学生モデル」は限界?"日中緊張"が大学現場を襲う

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しかし目下、トランプ政権以降のビザ発給厳格化や、経済安全保障を理由とした研究分野への制限により、渡米を断念する中国人留学生が相次いでいる。

その結果、アメリカ一択だった層の一部が、進学先を日本へと分散させる動きが強まっているのだ。

地理的な近さや治安、政治的な安定に加え、進学ルートの透明性は大きな魅力だ。中国政府による留学への注意喚起強化が予想される中であっても、日本は極めて現実的な選択肢として再評価される結果となった。

一方で、EJU(日本留学試験)の内容については「高校1年生レベル」との指摘もあり、当の中国人受験生コミュニティからさえも、制度の妥当性を疑問視する声が出ている。現場からは「入学後の課題提出やディスカッションへの適応力など、学習意欲こそが重要」という意見も多い。

経営基盤を数に頼ってきた小規模大学が「減少」に怯える一方で、難関校にはアメリカを諦めた「最優秀層」が押し寄せる。現在、日本の大学はこうした二極化の渦中にある。

求められる次の一手は?

最後に、これから日本の大学がすべきことは何か。それは「量」から「質」への転換だ。

まず、アメリカのように外国人留学生の学費を適正化(引き上げ)する。これは安易な出稼ぎ目的の流入を抑え、結果として「教育の質の担保」と「意欲ある学生の選別」につながる。

その原資を日本人学生の学費軽減や無償化に充てるという施策もあろう。同時に、留学生を大学の長期的なステークホルダーとして位置づけ、卒業後を見据えたネットワーク構築や寄付文化の醸成も欠かせない。

受け入れ後の「出口」の設計も甘い。日本で学位を取った優秀な中国人の多くが、日本の硬直的な採用慣行や賃金水準に見切りをつけ、外資系企業や母国のテック企業へ流出している。

「日本を第2の故郷」と慕う知日派を育てるはずが、単なる「便利な通過点」として消費されている現実は、日本社会全体の損失だ。日本社会に付加価値をもたらす層に対し、キャリア形成を国策レベルで支援する仕組みが不可欠だ。

どのような将来像を描き、その中で留学生をどう位置づけるかという設計思想が必要だ。短期的な学生数の増減に一喜一憂するのではなく、教育・研究・財政を一体で捉えた中長期戦略がなければ、日本の真の国際競争力は生まれない。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
西田 浩史 追手門学院大学客員教授、ルートマップマガジン社取締役・編集長

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にしだ・ひろふみ

2016年ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者、学習塾業界誌『月刊私塾界』『月刊塾と教育』記者を経て、19年追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員、20年より現職。これまで全国5000塾、延べ2万人の教育関係者を取材。東洋経済オンラインにて「アカデミックシフト 社会人から大学教授になる方法」を連載中。著書に『総合型選抜は何を評価するのか いますぐ知っておきたい新しい大学入試のリアル』(かんき出版)がある。

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