自覚なしの「隠れ冷え」を一発で見抜く質問→「お風呂は好きですか?」、現代人を悩ませる"痛み・疲れ・虚弱"を改善する方法

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特に、入浴後に体の痛みやしびれが楽になった経験があるなら、その痛みの原因は冷えかもしれません。生理痛と同じ原理で、これは、お風呂で温まり血が巡るようになったことで、冷えに起因した不調が一時的に改善した状態。つまり、ふだんは体が冷えているということなのです。

漢方が得意な「痛み」「疲れ」「虚弱」

では、冷えが関わる具体的な症状を整理していきましょう。

現代人が悩む症状は大きく分けて「痛み」「疲れ」「虚弱」の3つに集約されますが、これらすべてに、漢方薬は貢献できます。復習も兼ねながら、3つの症状を見ていきます。

◎痛み

肩こり、頭痛、腰痛、関節痛、生理痛……。実にさまざまな痛みに、私たちは悩まされます。

痛みがあるのは、その部分になんらかのトラブルが起きているサイン。漢方で考える痛みのメカニズムはシンプルで、その原因は、概ね「血の巡りの悪さ」として捉えます。血流が滞る(瘀血〈おけつ〉になる)と、その部分の組織が酸素や栄養不足になり、体が痛みという形でSOSを発信するのです。年を重ねると、その痛みは重症化する傾向があります。

そこで、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などで血流をスムーズにして、痛みの根本原因を解決します。

◎疲れ

現代の疲れは複雑で、肉体的な疲れと「脳疲労」があり、多くの人が悩んでいるのは後者です。ちなみに、医学的に「脳疲労」という言葉はありません。しかし今、多くの人が、脳が疲れているこの状態を実感しているのではないでしょうか。

土日にゆっくり休んでも月曜日にはまた疲れている、眠っても疲れがとれない、集中力が続かない、不眠や浅い眠りといった症状があれば、それは脳疲労のサインです。

これは漢方でいう脳の「血虚(けっきょ)」状態。脳に十分な血(栄養)が届かず、脳が疲労しているのです。この状態こそ、漢方薬の得意分野。加味帰脾湯(かみきひとう)などで脳への血流を改善し、質の良い睡眠を取り戻していきます。

◎虚弱

「なんとなく体が弱い」「すぐ風邪を引く」「疲れやすい」。ふだん、仕事や家事、学業に大きな支障はないが、体の不具合やちょっとした不調を感じている……。このような体質の人には、ある共通点があります。

それは胃腸が弱いということ。虚弱体質の人で胃腸が強い人は、まずいません。食欲にムラがある、下痢と便秘を繰り返す、ときどき吐き気がするといった症状があれば、それは虚弱体質のサインです。

漢方では、虚弱体質の根底にも、血の不足である「血虚」があると考えます。血が不足すると全身に栄養が行き渡りません。ですから、消化吸収機能の低下(これを脾虚(ひきょ)と呼びます。“脾”とは消化吸収機能のことです)の他、貧血の傾向やめまい、免疫力の低下などの症状があらわれやすくなります。そこで、小建中湯(しょうけんちゅうとう)などで胃腸を立て直し、食べたものを確実に体の栄養に変え、根本的な体質改善を図ります。

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このように、現代人を悩ませる「痛み」「疲れ」「虚弱」は、いずれも血の巡りの悪さ、つまり冷えが深く関わっています。

あなたも今、体のどこかに痛みを感じていませんか?

疲れが抜けずに困っていませんか?

なんとなく体が弱いと感じることはありませんか?

もしひとつでも当てはまるなら、おそらく「冷え」があるはずです。日頃から体を冷やさず、温める工夫をしてください。

そのうえで、あなたのもっとも気になる症状が、痛みなのか、疲れなのか、虚弱なのかを手がかりに漢方薬を選びましょう。それらの薬には、体を温める働きがあります。だから、体質を改善しながら症状を緩和していくことができるのです。

痛みや冷えなどの症状には、大きな病気のリスクが潜んでいることもあります。症状が重い場合には、まず医師に相談して、必要に応じて治療を受けることをおすすめします。持病がある人や妊娠中の人も、かかりつけの医師に事前に相談していただくと安心です。
なお、頓服ではなく、漢方薬を数年単位で服用する場合は、安全性を確保するためにも、専門の医師や薬剤師による定期的な診察と服薬指導を受けましょう。少なくとも3か月に一度は専門家のチェックを受けることで、体調や効果を適切に管理できますし、より安心して継続していただけます。
また、「胃の不快感がある」「むくみが出てきた」「ふらつきがある」「動悸がしてきた」などの症状が出たり、その他の気になる変化があらわれた場合も、すぐに相談しましょう。
大澤 稔 医師

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おおさわ みのる / Minoru Osawa

国際医療福祉大学病院産婦人科、東北大学病院漢方内科/産科婦人科の医師。1969年、群馬県生まれ。1994年、新潟大学医学部卒業後、2001年から前橋赤十字病院産婦人科副部長、2016年からは東北大学病院漢方内科/産科婦人科にて研究・医療者向けの漢方教育に携わる。2025年、国際医療福祉大学病院産婦人科部長、国際医療福祉大学産婦人科学教授に就任。専門は閉経後骨粗鬆症の治療・管理、中高年更年期医学、漢方東洋医学。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医。日本東洋医学会専門医。サイエンス漢方処方研究会理事。臨床医としての経験に加え、自身の不調を漢方によって何度も助けられた体験から漢方に目覚め、エキスパートに。医師や薬剤師など医療者に向けた講演も多数。

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